点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

部下の育成と仕事の成果を両立させる仕事依頼術

先日紹介した成長を加速させるために学びを「質と量の面積」で考えるの思考法がなかなか評判が良かったようなので、その考え方が書かれていた『BCGの特訓』という書籍からもう1つ、自分自身の仕事に役立った考え方・仕事術を紹介しようと思う。それは、「育成」と「成果」は両立するという考え方とそのための方法論だ。

なおこの考え方は、先輩社員や上位者だけでなく、仕事を受ける若手にも「賢い仕事の受け方」ができるようになるための助けになるはずなので、ぜひ知っておいてもらいたい。

 

 ※学びを「質と量の面積」で考えるの思考法はこちら

lightingup.hatenablog.com

 

はじめて下位スタッフを任された時の話

まずは自分自身の話から。

はじめて下位スタッフ(しかも新卒&ファーストプロジェクト)が自分の下についた時、正直、かなり大変だったことを覚えている。

もちろん納期と品質を保った仕事をしなければならない。かといって新卒君を「ただの作業者」にしてしまうと成長機会も少なくなってしまうし、そのような人の使い方は自分の信条と異なる。
そのため、極力考えるフェーズも一緒に手取り足取り取り組み、ある程度走り始めたらホウレンソウは行いつつも自主性に任せる、というスタイルで臨もうとした。

 

が、なかなか現実はうまくいかないもので。

結果として起こったことは、僕自身の自分の時間を大量に取られ、一方で自分のタスクは当然これまで通りあるので、毎週末出勤で自分の仕事の借金を返済するという日々
またこれはある程度仕方がないことかもしれないが、品質への拘りというか、完了基準を満たしていない資料が出てくることが多く、その資料を自分で手直しするならまだしも、データの信ぴょう性も怪しいため結局イチから資料や計算結果を見直すという、人は増えたのに自分の負担は増えるばかりという事態に陥ってしまった。

もちろんもっとスマートに新人育成をこなせる人もいると思うが、僕のような経験の持ち主も少なくないのではないだろうか。

 

任せる仕事の粒度でコントロールする

そんな中、本書で書かれていたことを思い出しで試してみたところ、だいぶ楽に回るようになった。その教えとは次の通りだ。

効果的な育成に向けては、本人の努力を再断言引き出していく(実施に最大限引き出すには、さらにその少し上を目指す必要があるが)ことが重要だ。

そのためには、本人の実力にあった難易度の業務を与えることを意識しながら、仕事を任せていかなければならない。ただ、それには、個々の業務の難易度を的確に把握することと、本人の実力を把握することの両方が必要だ。どちらが欠けてもうまくできない。

なかでも、業務の難易度を把握するのは、それほど簡単なことではない。特に、自分がメンバーだった時代に仕事が "できる人" だったというマネージャーは、難易度が適切に把握できない傾向がある。どんな業務でも、人よりうまくできてしまい、"簡単" という分類になってしまうからだ。

これは頭では難易度に応じてタスクの割り振りをしなければいけないと分かっていたのですが、確かに書かれている通りなかなか難しい。

もっとも僕の場合は、"できる人" という要素は多少はあったかもしれないが、それ以上に "気合とガッツで深夜まで頑張る人" であったのも大きかった。それを下につくスタッフに期待しても強要してもいけないと理解しつつも、1日を8時間ではなく12~16時間ぐらいで考えてタスク設計していたのが失敗の原因だったと思う(もちろんオーバー分はスタッフにおしつけるのではなく、こちらで巻き取ってリカバリする前提でのタスク設計)。

 

また、1つのタスクをどう線引き、分解して依頼するかで、全部任せるか全部巻き取るかというタスク分解しかはじめはできていなかったことも難しく感じる要因だと思う。つまり、難しい仕事はこちらで担当し、簡単そうに見える仕事は(出だしは手伝うが)すべて新人に任せるという方法だが、ただしそれは上記の通りなかなかうまく回らない結果となってしまっていた。

そこに対する答えが、本書に明確に書かれていてたので紹介したい。

業務を任せる際に、次のように業務を「分解」するという発想を持つと、業務の難易度をコントロールできるようになる。

  1. 論点で与える:与えるのは "問い" のみ。どんな仮説を立てるか、仮説をどう検証するかも含めて本人に考えさせる
  2. 仮説で与える:問いと仮説は与えて、検証の部分だけを本人にやらせる
  3. タスクで与える:問いに対する仮説を立て、検証するためにはこうした作業が必要だ、ということろまでを与え、「〇〇を立証するためのデータを集めて」などタスクのレベルで任せる
  4. 作業で与える:「このデータを、このように調べて、こういうフォーマットで整理して」という作業レベルまで落とし込んで指示する

これは、かなり目から鱗の教えだと思う。

1つの仕事でも難易度が低かったり、あとからリカバリする時間が十分にあればチャレンジとして論点設定から任せればいい。難しい仕事はこちらでタスクレベルまで仕上げてからそのあとを任せればいい。そうすることで、こちらはこちらですべき仕事に集中できるし、また「作業だけ」与えているわけではないので、下位スタッフにも十分な成長機会を与えることができる

この考えを取り入れてからは、下位スタッフへの仕事の割り振り方や、場合によっては仕事の巻き取り方もうまくなり、時間でカバーする働き方も少し改善に繋がったし、品質・納期を担保しながら若手の成長を促すこともできたと感じている。
なお社内から若手の育成者の適任者として見られているのかどうかは分からないが、それ以降なぜか新卒を受け持つことが多く、毎回この考え方を実践しながらうまくプロジェクトデリバリーを行えているので、これは再現性のある考え方だと思っている。

 

因みにこの話は平たくいってしまえばバランス感覚なのだろうが、こういった粒度を細かく見て分解することは意識しないとできないこと。改めて良書というか、BCGの人が書いた本だなと感じたので、興味のある方は是非手に取ってみてはいかがだろうか。 

BCGの特訓 成長し続ける人材を生む徒弟制 (日経ビジネス人文庫)
 

 

なお同じ若手・新卒ネタでこちらもオススメなので良ければご一読ください。

lightingup.hatenablog.com

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こちらは僕の新卒時代の回顧録

lightingup.hatenablog.com

 

ではでは。