点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

セールスフォースがTableauを買収。データの価値がますます高まる現代において求められる人材とは?

昨夜驚きのビジネスニュースが流れてきました。

エンタープライズ向けクラウドサービスで最も成功しているといって過言ではないセールスフォースドットコム(以下SFDC)が、データ分析ツール業界でトップクラスの人気・シェアを持つ Tableau を153億ドルで買収するというニュース。
153億円ではなくてドルですからね。日本円にして約1.7兆円。

また金額もさることながら、ビッグネーム同士の買収とあって、業界はとてもざわざわしています笑

www.publickey1.jp

markezine.jp

ceron.jp

 

さて僕個人としては、前職では営業として SFDC の超ヘビーユーザー、現職ではクライアント先で Tableau に触れたこともあり、どちらも馴染みがあります。

それぞれを簡単に説明すると、SFDC は営業・マーケティング支援、顧客管理、ヘルプなど顧客回りのデータをため込み管理することができるツール。一方 tableau は、Excelの強化版といいますか、様々なデータをつないでツール上で疑似的なデータベースを構築でき、そして簡単操作で様々なグラフ、円グラフや折れ線グラフは当然のことバブルチャートやガントチャートなど、データ分析に必要だと思われるグラフを作成できるツールです。

データ保管庫がデータ活用ツールを買収したわけですから、そりゃ相性はいいですよね。なおこういった買収は、SFDC と tableau の他に、有名な事例だと以下などが挙げられ、こういった統合が一種の流れになってきているようです。

  • Google によるビックデータ分析企業 Looker の買収(26億ドル)
  • Adobe によるマーケティングオートメーション Marketo の買収(47.5億ドル)
  • ソフトバンクグループ参加コンピューターチップ設計企業 ARM のデータ分析企業 Treasure Data の買収(6億ドル)

 

データはどんどんユーザーの身近な存在になってきている

さて、SFDC の CEO であるマーク・ベニオフは「真のクラウドはソフトウェアの民主化だ」と述べています。

news.mynavi.jp

cloud.watch.impress.co.jp

つまり、従来であればシステムとは高いお金をかけて自分たちで導入・構築しなければならず、高機能を有したシステムは大企業しか持つことができませんでした。

ところがクラウドの考え方はその自前主義の逆となる「みんなで使う」「割り勘」の考え方クラウドサービス事業者が自分たちで先行投資してサービスを構築し、ユーザーは「サービス」として利用します。つまり、クラウドの普及により、中小企業でも大企業並みのシステムをローコストで利用できるようになった、、、これがマークベニオフの言うところの「ソフトウェアの民主化」です。

 

データをどう統合するかに頭を悩ませる時代はもう終わり?

またクラウド化の流れは、多少理想論になりますが、データ統合の悩みも解消していきます。

従来であれば、社内に様々なシステムやファイルがありそれらは互いに独立していて、それらを集計するだけで多くの人手が発生していました(そして現在進行形でこの手の問題に悩まされている企業は多いはず)。しかも企業合併があれば、本社と子会社で利用しているシステムが異なりデータ加工に非常に時間がかかる、、、なんてあるあるの問題です。

ですが、理想論ではありますが、可能のものすべて SFDC などのワンプラットフォームに乗せ換えてしまう。これだけで、データ統合の難易度は一気に下がります。また昨今であればルーチン業務の自動化もどんどん進んで来ていますので、クラウドに乗り切らないシステムであっても、データ加工に要する工数は、イケている企業であればどんどん減らすことができいるのが最近の流れだと感じています。

 

見たいデータをすぐに見ることができる時代に突入

大企業であっても中小企業であっても、データはどんどんクラウドに集約されていく。その過程でクラウドサービス事業者も統廃合されワンプラットフォームに近づいていく。そして足元では自動化の範囲が急激に広がっていく。

それの結果として訪れるのは「見たいデータすぐに見ることができる」時代ではないでしょうか。先日、ハーバードビジネスレビュー6月号のデータドリブン経営に関する書評も書きましたが、データ活用の高度化によって、できることの精度や到達点、容易性、効率性がどんどん高まってきています

lightingup.hatenablog.com

意思決定する人が欲しいデータにすぐにアクセスでき、データに基づいた判断を下すことができる社会の到来です。

ちなみにそうすると、古典的な戦略立案の価値はどんどん下がっていきますね。数か月かけて市場調査したりモデルを考えたりして、結果を PowerPoint に綺麗にまとめて提出。しかしその紙にどこまで価値があるのか。むしろそんな机上の試算に数か月時間をかけていたらどんどん陳腐化してしまう。それよりも、実際のリアルなデータを見て意思決定し、即座に試して、そしてその結果を間をおかずに検証する。このような PDCA の高速回転の方がはるかに価値が高いのではないかと感じていますし、であるからこそコンサルティングファームが取り扱うテーマも、いわゆる Pure 戦略の割合は減ってきて、PoC/PoC、Technology Transformation や実行支援の要素が高まってきているのでしょう。

 

そして少し戻りますが、この「データに基づいて意思決定できる人」は、経営者や管理職だけある必要性はどこにもありません。むしろ、日本の強みである現場。現場こそが、データに基づき自身で意思決定していく。こういう組織は強いと思いますし、イチコンサルタントとしてはそのような社員のマインドチェンジや組織風土変革、人材育英などのテーマに取り組んでいきたいなと最近考えています。

 

これから求められるのは、どんなデータを見るべきかの仮説を作れる人と、データから意味を導き出すことができる人

では最後に、そのような時代には、どのような人が求められるのでしょうか。

まずデータを集めてまとめるだけの人は付加価値がどんどん下がっていきます。
※とはいえ、世の中の財務経理や経営企画の人たちの中には、実はデータ整理ばかり、、、という人もまだまだ多いかと思います

またシステム構築やダッシュボード作成を行う人の付加価値も下がることでしょう。
※とはいえ、 SFDC にしても Tableau にしても簡単にカスタマイズ/構築できるのに、ベンダーに高いお金を支払って作ってもらっている会社のなんと多いことか!

 

これから真に求められる人は、そういう中間いる人たちではなく、ビジネスとデータをつなぐ人だと僕は思います。

つまり、ビジネスからデータを用いて検証すべき仮説課題を立案できる起点となる人と、データからビジネスにとって価値のある意味・示唆を導き出せる終点となる人です。

いろいろな企業を見てきましたが、正直データに対する感度の高いビジネスパーソンはまだまだ不足しているなと感じています。最近 AI や機械学習ビッグデータブロックチェーンなどテクノロジーの話題が世の中を賑わせていますが、それらを使うのは人であるわけですし、正しく使って投資以上の効果を得なければ意味がないわけですから、データとビジネスの架け橋となる人材を目指すのもこれからの社会を生き残る1つのキャリア戦略かなと考えた次第です。 

 

因みに僕は、SFDCもtableauも構築(カスタマイズ)・操作・活用できて、もちろんビジネスのことも業務プロセス改善という守りから新規事業という攻めまで幅広に分かり、戦略の文脈で経営層に向けの提言も多少はでき、そしてそれらを自律的に実行できる人材なのですが、、、どこかで高く拾ってくれる人はいないもんですかね?笑

 

また、類似ネタでテクノロジーの進化がもたらす社会の投稿もあるので、良ければご覧ください。

lightingup.hatenablog.com

 

ではでは。