点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

新卒で入社したベンチャー企業で一番はじめに行なった仕事の話

最近は新卒でベンチャー企業に入社する人も増えてきたみたいですね。
ベンチャー企業も見ています」というコンサル志望の学生さんにも何人かあってきました。

 

僕も新卒ベンチャーなので同士が増えるのは喜ばしいです。ですが一方で、就職とは企業とのマッチングですので、入社後に「思っていた働き方とは違う」となると、双方にとって不幸せです。

今回はそのような悲劇が生まれない用に、あくまで僕自身の体験談ではありますが、入社後2日目から行なった業務内容の話をもとに、ベンチャーで働くとはどういうことかという一例を紹介できたらと思います。

 

入社後すぐに社内業務改善

当時はそういう意図はなかったのですが、今振り返ると完全に業務改善とそれが回るための仕組み作りを初っ端やったなと思います。

 

たぶん入社後2日目だったと思います。僕は社員数50名未満の小規模なベンチャー企業に営業として入社していたのですが、入社日翌日に営業のマネージャーさんに「お客さんからの問い合わせへの回答に時間がかかったり、時には届いたメール問い合わせが数日間放置されてしまうことがあるんだけど、サポート部門の人と協力して、問い合わせ対応フローを整理してもらえないか?」と頼まれました。

そもそも「業務フローって何?」という状態でしたので、まずは業務フローをGoogleで検索して調べた記憶があります笑
(ちなみにコンサルティングファームであれば、新卒は入社後の研修の中で、業務フローの書き方を教わると思います)

 

手探り状態でまずは現状確認

業務フローを調べた他に、以下のようなことを社内の営業部門やサポート部門、そして部門長の役員に聞いて回った覚えがあります

  • 自社にどのような問い合わせがどの経路で流入するのか
  • 本来はどういう経路で流入して欲しいのか
  • 現在は届いた問い合わせに対してどうように対応しているのか
  • (営業として/サポートとしては)どういう対応方針が望ましいのか
  • (部門長としては)営業/サポートがどういう役割のもと問い合わせ対応すべきと考えているのか
  • 届いた問い合わせをどのように管理しているのか
  • 届いた問い合わせを既存のシステムを活用しつつどう管理するのが望ましいのか

僕の前職は自社のITサービスを営業・運営していたのですが、販売経路が直販だけでなく代理店営業があったり、自社で顧客サポート部門があるのですがその守備範囲は基本的には直販なのですが、一部代理店については代理店経由のエンドユーザーのサポートも請け負っているというちょっと複雑なものでした。
しかも問い合わせに関しては、サポートを受ける約束をしていない代理店経由のエンドユーザーからも問い合わせ電話がきてしまうこともある、というなかなかに整理されていない状態でした。

ちなみにこの確認作業を行なっている中で、「システム障害があった際のユーザーへの通知方法も整理されていないので、一緒にまとめて欲しい」という追加オーダーがあったことも覚えています笑

 

あるあるな社内調整

 営業とサポートは立場の違いから意見が対立しているという企業は多いのではないでしょうか?

ご多分に漏れず、前職でも考えが異なっており、

  • 営業としては全部サポートで問い合わせ対応を行なって欲しい
  • サポートとしては代理店関連の場合は情報をすべて把握しているわけではないので迂闊に回答したくない

という状況でした。両方ともごもっともな意見ですよね。

こうなると当事者間だけでは収集つかないので、役員に確認した内容を元に今回の取り組みのコンセプトを考え、それを元に両者が納得し、双方の業務がスムーズに回るフローを考えていきました

 

最後に仕組み作り

 そんなこんなで業務フロー図が作成できました!直エンドユーザー/代理店/代理店経由エンドユーザー(サポート契約あり)/代理店経由エンドユーザー(サポート契約なし)などのクライアントの種類、電話/メール/web問い合わせフォームという経路の種類、通常サポート依頼/アップグレード相談/解約相談/障害連絡などの問い合わせ内容の種類など、状況に応じた結構複雑なものが出来上がりました。なかなかの超大作ですね。

ただそうなると別の問題が発生します。複雑なものは誰も使わず、定着しないものです

 

そこで最後にしたことは、運用を回るようにするための仕組み作りです。

 

前職では salesforce というクラウド型の顧客管理/営業支援ツールを活用していました。そしてwebフォームから問い合わせがあるとシステムに自動的に反映され、そしてサポートの人たちはそのシステム上で問い合わせを管理していました。

ということでこれを活用しない手はないと思い、サポートの人に salesforce の使い方を教わり、今回のコンセプトとフローをもとシステム上で営業とサポートがやりとりをする方法を一緒に考え、営業用に利用マニュアルを作成し、そしてそれを営業メンバーに説明する、という試みを行いました。

営業の人には、システムに登録しておけばその後サポートの人たちが回答を作成してくれるという行動変革に対するメリットもセットで伝えたことを覚えています。

 

そして最後には、salesforce では自由にレポートを作成することができるのですが、問い合わせ一覧のレポートを作成し、対応漏れや対応遅れが無いかを毎日僕がチェックするという泥臭い方法を採用して、新しい問い合わせ対応の業務プロセスが完了しました。
(なおこの日次チェックは後日自動化しました笑)

 

この一例から見えてくる、ベンチャー企業に向いている人

規模感は小さいかもしれませんが、今から思うとちゃんとした役割と権限の整理・プロセスの整流化・システム活用などを含んだ業務改善プロジェクトですよね。

繰り返しになりますが、上記の取り組みは新卒で入社したベンチャー企業で一番はじめにやった仕事の話です。入社後2日目に着手し、確か2週間程度で終わらせたと覚えています。

 

ただもちろん業務のことやシステムのことがわかっていたわけではないので、とにかく社内の色々な人に聞きまくりました。フロー図も何度も作成し見てもらって意見もらって修正してを繰り返しました。salesforceももちろん存在自体はじめて知ったわけですし、アカウント作成してもらってからは触り倒しました。

 

ベンチャー企業にもいろいろあり、メガベンチャーなどであれば手厚い研修もあるのかもしれません(実際のほどは知りませんが)。

ですが大半のベンチャーでは、現場に放り出されて、その中で自分で創意工夫しながら考え行動するフットワークの軽さ・サバイバルスキルが求められるのではないでしょうか。それがベンチャー企業で働くことで手に入れることができる「より大きな裁量」「チャンス」「成長機会」に繋がるのだと思います。

 

こういうことを苦なく行える、またはワクワクするような方は、新卒であれ中途であれきっとベンチャー企業に入社しても活躍できると思いますし、反対にそのような無茶振りや非定型業務が続く日常は合わないと感じる方は、もしベンチャー企業への入社を検討しているのであればその候補企業がどのようなステージのベンチャー企業であるかをよく見極めることをおすすめします。