点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

新人・若手ビジネスパーソン必見!「成長」のためには学びの「面積」を広げよう

成長のためには「バッターボックスに立て!」「打席数×打率だ!」という意見をよく聞きますね。みなさんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?

余談ですが、この手の例えは多くの場合野球ですよね。ここ数年では世の中の人気はサッカーが野球を逆転したという人もいますが、この手の比喩表現にサッカーが使われることが少ないということから、いまだに野球で例えられた考え方はもしかして時代遅れなのでは?とも思えてしまいます。

 

そして実際、個人的にはこの考え、片手落ちだと考えています。

バッターボックスに立ってバットを振っているだけでよかったのは、野球人気絶頂期の、かつての右肩上がりの成長時代。モノを大量生産していれば売れていた時代の名残だと感じます。 

このご時世では、もちろんバッターボックスに立つことは大事ですが、それだけだとダメです。やみくもにバットを振るだけでは適切な力は身に付きません。

 

学びの「面積」を広げよう

そう思っていたところ、戦略系コンサルティングファームボストンコンサルティンググループ(BCG)のパートナー2名により書かれた人材育成の関する書籍の中に、面白い表現を見つけました。

それは 「時間の量」×「時間の質」で考えて、その掛け算の面積を大きくしていくべき、という考えです。

 

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本書では、成長の「面積」を増やすためには以下の4点が大事だと説明しています。

  1. どんな場面でも「学ぶ」スイッチオンの時間を長くする(時間へのアプローチ)
  2. 良い手本を「観る」(質へのアプローチ)
  3. 自分の行動を「因数分解」する、行動を「リバースエンジニアリング」する(質へのアプローチ)
  4. 高速PDCAで実践の打席数を増やす(質へのアプローチ) 

余談ですが、外資系〇〇が教える~とい書籍は How To だけを教えるだけのただのスキル本が多い中、本書は骨太な成長方針が書いてありとてもお勧めです。 

BCGの特訓 成長し続ける人材を生む徒弟制 (日経ビジネス人文庫)
 

 

成長機会を見つけられるかどうかは本人の心掛け次第

さて、この質と量の掛け算であるところの学びの面積を増やす、そのためにアンテナを広く張り成長機会を逃さないようにするという考えは非常に同意できます。

ではこの考えをさらに一歩踏み込んで考えてみましょう。

4つの大事な点ですが、この中でどれが一番大事かというと、表面的にはまずは1のスイッチオンの時間を長くすること、しかしより根本的にはスイッチオンの時間を誘発する「観る」ことかなと考えます。

 

本書の中でも、 スイッチオンの時間を増やすための心得が多く書かれていました。例えば、、、

  • 「こんな会議には意味がない」と思いつつ、ぼうっと会議に参加している
  • 与えられた仕事(単純作業含む)に対して、「作業」として手だけ動かしている
  • 自分の仕事が全体のなかでどのような意味があるのかを知らない、考えていない
  • 隣の担当者、隣の課が何をしているのか、よくわかっていない
  • 同じような失敗、ミスを繰り返す
  • 大量の回覧物やメールを日々読んでいるが、何も深く記憶に残っていない

1つでも当てはまるものがあれば、それはオンの時間を増やせるということだ。

時間は有限ですし、すべての人に同じく1日24時間しか与えられません。また「学びの時間」を増やすといっても、普段の生活やプライベートの時間もあるでしょうから、急に毎日1時間勉強の時間を作るなどというのも非現実的でしょう。
であるからこそ、まずは日々の仕事や生活の中で、物事を観る目を鋭くし、スイッチオンの時間を増やすことが成長のための一番の近道になるのです。

本書でも、次のようなコンサルタントらしいエピソードが紹介されていました。

ここで15年くらい前、筆者がコンサルタントとして駆け出しの頃のプロジェクトでの経験を紹介したい。

ミーティングが終わったあと、会議で書き込みがあったスライドのコピーをとって配布するのが経験の浅いコンサルタントの仕事と相場が決まっていた。最低限の仕事をきちんとやろうと、会議終了後に急いでコピーをとって配布した。するとすぐにマネージャーから電話がかかってきた。

「スライドの順番を考えてコピーしたのか?」

そしてマネージャーはこう続けた。

「もし、これで順番を考えながらコピーしたというのなら、議論の流れを理解するスジがかなり悪い。なぜこれではいけないのか、説明するからすぐに自分のところに来い。万が一、順番のことなど考えず、手だけ動かしてコピーしたのなら、それはもっと問題だ。BCGには、頭を使わず、ただこなすだけの作業は存在しない

目の前の仕事を、ただの作業とみなすか、それとも成長機会と捉えるかは本人次第ということですね。

 僕自身も新人には口すっぱくなんども言っています。漫然と仕事をするな、と。
(もっとも、かつて僕も上の人たちに言われてきたことですが)

 

僕の敬愛する経営者にSBIホールディングスの北尾吉考氏の書籍「何のために働くのか」にも、次のようなエピソードが紹介されていました。

元首相の吉田茂さんが青雲の志を抱いて外交官になったばかりのころの話です。吉田さんが最初に命じられた仕事はテレックスの伝達係だったそうです。テレックスが届いたら、それを大臣のところに持っていくわけです。それが吉田さんには不満だったのです。

「最高学府を出て高文試験に通って外務省に入ったのに、なんでこんなつまらない仕事をやらなければいけないんだ」

そして、義父にあたる牧野伸顕公に手紙を書いて、その思いを切々と綴りました。すると牧野公から返事が戻ってきました。

「君はなんと馬鹿なことを言ってるんだ。大臣よりも先に国家の重要な情報を見ることができるのだよ。それを見て、君はどう判断するのか、大臣はどう判断しているのか、その判断の結果はどうなっているのか。君はまたとない勉強のチャンスを得ているじゃないか。こんなありがたいことはないよ」

手紙を読んでいるうちに、吉田さんは自分が間違っていたことに気づき、つまらないと思える仕事でも一所懸命に取り組むように変わっていったのです。

何のために働くのか

何のために働くのか

 

 

6月に入り、多くの会社で研修を終えた新人が部門に配属されはじめているのではないでしょうか。
新人に限らず若い時はどうしても単純作業が多くなってしまうかと思いますが、腐らずにこの教えを胸に抱いて頑張って欲しいですし、若手を預かる先輩社員としてはこのような考え方を教えていかないとですね。

 

まずは、こういった心掛けが大事ですね。

ということでこちらの記事もおすすめです。

lightingup.hatenablog.com

 

ではでは。