点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

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とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

恋愛や婚活にも使えるマーケティング手法「STP分析」

マーケティング用語にSTP分析という言葉がある。
マーケティングの大家であるフィリップ・コトラーの提唱した理論で、業種業界会社規模問わずに利用できる考え方で、ビジネスだけでなく私生活を戦略的に生き抜くためにも活用できる優れたフレームワークである(例えば転職活動とな婚活でも使える考え方だ)。
 

STP分析とは

STP分析とは、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つの頭文字からなる。
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  • Segmentation セグメンテーション:市場を細分化し標的にする市場を決定する
  • Targeting ターゲティング:ターゲット層を抽出する

  •  Positioning ポジショニング:自社の立ち位置を明確化し競争優位性を確立する 

市場全体を分解し、その中からターゲットを定め、そこに効果的に訴求するための立ち位置を考えるべしというフレームワークである。
 
 

恋愛/婚活で考えると?

分かりやすく(男性が行う)恋愛/婚活で考えよう。
まずは女性全体を意味のある切り口でグルーピングする。「意味のある」が大事で、例えば年齢だけだと弱い。この軸選びが一番創造性を求められるポイントである。
次に、どこをターゲットにするかを考える。例えば、「都内一人暮らし30代年収450万円~600万円程度のキャリアウーマン」などである。意味のあるセグメンテーションが行えれば、必然的にターゲティングはより細かく具体的になる
そしてターゲット市場が定まれば、そのターゲット市場の中で自分をどのように位置付けるかを考える。例えば「自分自身もキャリア志向が高いため女性が仕事中心であることにも理解を示し、しかも家事も得意」などであり、これは周囲との差別化戦略である。
ここまでそろえば、あとは簡単。ターゲット女性がいる場所(合コン/街コン/友人からの紹介)に赴きリーチし、自分のポジショニングで魅力付けを行えばよいのだ。
 
なおこの分析は必ずSTPの順番でしなければならないというわけではなく、セグメンテーションをせずに先にターゲット市場が明確な場合もあるし、ユニークなプロダクトが先にありポジショニングからターゲットを考えるという方法もある。
 

セグメンテーションには創造性が求められる

このSTP分析だが、一番難しいのはセグメンテーションだと考えている。
例えば上記の恋愛の例だと、女性という市場を20代、30代、40代と年齢に分けるだけだけでは、漠然としすぎてその後のアプローチ方法まで落とし込むことができない
 
では反対に、アプローチしやすさから考えるのはどうであろうか?例えば「彼氏と別れて数か月たった人は新しい彼氏を求めている」という仮説を立てて、「彼氏と別れて3か月以上半年以内」の女性をターゲットにしようとする。これは筋は悪くないと思うのだが、ではいったい市場をどのようにセグメンテーションすればいいのだろうか。年齢であれば分かりやすいが、「彼氏と別れて3か月以上半年以内」というターゲット層を浮き彫りにする市場の切り口方法は私は思い浮かばない
 
この例から分かる通り、市場の分解方法は、分解した後にその後のプランが思いつくかどうかという視点と、その分割が実行可能かどうか、という視点が求められる
 
BCGの元代表である三枝氏は、「戦略プロフェッショナル」という彼のコンサルティング経験を元にして書いたビジネス小説の中で、セグメンテーションについて以下の通り書いている(※「広川」は小説の中の登場人物である)。
広川によれば、企業戦略の中で、セグメンテーションほど創造性を求められるものは他にないという。競合企業の気づかぬうちに、新しいセグメンテーションを作り出す企業が、価値を収める。
しかし市場をただ分割すればよいというのではない。
セグメントする基準は、戦略自体に「完璧に合致」していないといけない。そうでないセグメンテーションは使い物にならないか、またはそれを本当に実行に移せば、貴重な時間や経営資源を浪費するという実害を生む。

※ちなみにこの書籍はかーなりお勧め!意識高い系ビジネスパーソンであれば必ず読むべきです 

 

そう、セグメンテーションには創造性が求められるのだ。
しかも三枝氏はそれだけでなく、セグメントの基準が戦略と完全に合致することが必要だと説かれている。

これには難易度高くなっと感じるが、しかし一方で、 この言葉自体が大きなヒントでもあると感じる。 
つまり、セグメントの切り口が分からない場合は、戦略から考えればいいのだ。

何度も繰り返してしつこいかもしれないが、恋愛で言えば、自分にはどういう魅力があって、どういう女性に好意をもってもらえやすいのかという点からスタートし、どうやって彼女を作るべきかというストーリーを考える、つまり自身の恋愛戦略がまず先にあるべきだということであり、その戦略を実現化するために女性市場をどうセグメンテーションすればいいのかを検討していく、という思考順である。

もっとも、鶏が先か卵が先かの議論になりそうな気もするが、まずは戦略が先にある方がべき論ではないかとは思う。

 

私がベンチャー企業で実践したSTP分析の実例

ここまでの例えがすべて恋愛だったので、実際のビジネスの現場でどう活用できるのかも論じたい。
その実例として、私はコンサルティングファームに転職する前は規模の小さいベンチャー企業で働いていたのだが、その時の経験を語ろうと思う。
 
その会社はSaaSクラウドサービスを運営しており、サブスクリプションモデルで月額数千円~数万円のサービスを法人向けに展開していたのだが、ビジネスモデル上仕方がいないのだが1件1件の売上が少ないことを営業マンとして改善したいと考えており、、、自社のクラウドサービスを他のIT企業にドカッとOEM販売を行ったことがある。その時まさに、自社の戦略や商品特性に合うように様々なIT企業をセグメント分けしてターゲティングして営業先リストを作成し、その中に営業を行い、結果大型受注につながったエピソードがある。
 
と言いつつここまで引っ張っておいてなんだが、その話もそれなりの長さになるので、今日はいったんここまでにして、その話は近日中に投稿したいと思う。
 
ではでは。