点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

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とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

ブログを開設してから少し賢くなったと思う:意図的戦略と創発的戦略

このブログは令和が始まった日に開設した。

ブログを書き始めてからちょうど2ヶ月経ったわけだが、1つ大きな変化が現れている。

最近、以前と比べて賢さレベルが上がっている気がする。

 

どういうことか、コンサルらしくインプットする力、思考する力、アウトプットする力の3つのポイントに添って、過去の記事を整理しながらまとめるとともに、最後にそこから言えることを考えてみた。

 

インプットする力 

この2か月で事象から得られるインプット量が増えたと感じている。

これは、単に読書量が増えたとか、調べる量が増えたとか、それだけの話ではない。

日々の生活の中で物事を見るメッシュが細かくなったというか、ブログネタは無いかと探す意識により、日々の気づきが増えたということだ。

 

実際にいくつかの投稿した記事を振り返ってみよう。

例えば、こちら。飲食店でその店の強さの源泉を考えてみた記事。

lightingup.hatenablog.com

これまでも飲食店で売上規模や良いところを考えてみたことはあったが、この記事のように深い洞察ができたので、観察眼が良くなったからだと感じている。もしこの飲食店に行ったのがブログを書き始める前であったとしたら、同じ景色を眺めたとしても、ここまで多くのことに気が付かなかったと思う。
(なおこちらは「はてブ砲」のおかげで多くのPVを呼び込んでくれた)

 

こちらも同様に、ただニュースとして眺めるか、それともそこから気づきを得られるかの良い例だと思う。

lightingup.hatenablog.com

 

 またこれは自分自身の行動や発言を見る力が高まった例である。

「顧客視点で語るにはクライアントの言葉を借りればよい」とこれまでも考えて実行していたが、それをより細かく見ることで3種類に分解することができ、その結果をまとめることで出来上がった記事である。

lightingup.hatenablog.com

 

思考する力

ブログを運営するにあたり、この「思考する」こと、「自分で考えたことを発信する」ことを何よりも重視している。ので、たまに書いてしまうことはあるが、ただの出来事を記述するだけの日記や、事実の羅列、調べればわかるような知識だけの投稿は極力行わないようにし、何かしらの自分の考察などの「付加価値」を乗せることを心掛けている

そういう観点で過去の記事を眺めると、 例えば以下は他者のコラム(ベンチャー就職支援Slogan社の「ベンチャー転職1年目の教科書」というコラム)に書かれていたことを構造化した記事は、よく考えてかけていると感じている。
lightingup.hatenablog.com

項目が10個あったのだが、たんにこれをグループ化しまとめた、というだけではなく、自身の課題の特定・課題の解決に利用できる「フレームワーク」として再構築したことは、自分なりの付加価値だと考えている。 

 

また自分自身の考える思考の幅も広がったと感じており、例えば以下の記事では、とある客層にとって、スポーツジムと Omiai などのマッチングアプリが競合関係にあると論じているのだが、このような思考の発展はブログを書かなければなかなか行わないので、自身にとって思考よいトレーニンとなっている。 

lightingup.hatenablog.com

 

さらに考えるテーマで忘れてはならないのが、自分の暗黙知を理解することができるメリットだ。

ja.wikipedia.org

暗黙知(あんもくち、英: Tacit knowledge)とは、経験的に使っている知識だが簡単に言葉で説明できない知識のことで、経験知と身体知の中に含まれている概念。例えば微細な音の聞き分け方、覚えた顔を見分ける時に何をしているかなど。マイケル・ポランニーが命名。経験知とも。
暗黙知に対するのは、言葉で説明できる形式知暗黙知としての身体動作は説明しにくいが、経験知では認識の過程を言葉で表すことができる。

例えば以下は、なんとなく経験的に行っていたことをちゃんと整理しまとめることによって書くことができた記事なのだが、これによって自分自身の再現性も高まったし、後輩などへの指導も行いやすくなったと感じている。

lightingup.hatenablog.com

 

アウトプットする力

正直、自分自身の表現力・描写力はイマイチだということはよく知っている。情緒豊かであったり、ウイットに富んだ文章を書くことは、残念ながら向いていない。。

そういう意味でこれまでの2つの項目に比べると成長はすくないのだが、しかし感性の領域ではないところで、例えばロジカルさを突き詰めたり、構造として読みやすい文章、読み手を意識した文章を書く、などはできると思うし、実際に向上に向けてチャレンジしてきたつもりである。

例えば以下の書評は、論理展開や起承転結が明確で(概要紹介⇒本書のエッセンス紹介⇒自身の主張を交えた引用⇒活用する際の留意点)、自分としてよく書けていると感じている。

lightingup.hatenablog.com

 

またこちらも書評系だが、「幸福学」という新しいコンセプトについて、6冊の書籍をもとに分かりやすく解説できている、、と自分では信じている。
lightingup.hatenablog.com

 

また読み手に呼びかけるような書き方を試してみたり、

lightingup.hatenablog.com

 

自分の失敗談を交えながら書くなど、論理的に書くだけでなく、多少は面白さを出すということも挑戦はしている(が、まだまだだということも十分理解している)。

lightingup.hatenablog.com

 

以上から言えること

コンサルタントは常に「Why So?」と「So What?」を考えながら生きている。

「Why So?」は原因分析なのでイメージも沸くかと思うが、「So What?」とは何なのか。それは、いくつかの事実や事象、考えやまとめに対して、そこから何が言えるのか、それにはどういう意味があるのか、示唆はなんなのか、という思考方法である。
私も入社直後は口酸っぱく上位者に言われてきたし、今は後輩に高頻度で次のように言っている。「だから何なの?どういう意味があるの?」と。

 

さて今回の投稿についても最後に So What? を考えて締めとしたい。

 

今回インプットする力、思考する力、アウトプットする力の3つに観点で整理してみたが、面白いことに、それぞれあらかじめ予期したことではなかった
(もともとは、自分の考えを世の中に発信したいということと、それによって他に人に何かしらのプラスがあればいいなとの思いでブログを開始した)

 

そう考えた際に、「意図的戦略と創発的戦略」という言葉が思い出された。

この考えは、ミンツバーグの創発的戦略というものが有名なのだが、今回はそちらではなく「イノベーションのジレンマ」で有名なハーバード大学のクリステンセン教授の著書『イノベーションオブライフ』から引用して説明したい。

 

まず 「意図的戦略と創発的戦略」の説明から。

戦略の選択肢は、二つのまったく異なる源から生まれる。一つ目の源は予期された機会、つまり前もって予見し、意図的に追求することができる機会だ。このような予期された機会を中心とする計画を実行するとき、意図的戦略を推進しているという。選択肢の二つ目の源は予期されない機会で、一般には意図的な計画や戦略決定、推進するうちに生じる、さまざまな問題や機会の混じり合ったものをいう。

予期されない問題や機会は、平たく言えば、経営陣や従業員の注目、資金、熱意を得ようとして、意図的戦略と張り合う。企業はここで選択を迫られる。当初の計画に固執するか、それを修正するか、それとも新しく生じた選択肢の一つに完全に乗り換えるかだ。この選択は、はっきりとした意志決定の形をとることもある。だが一般に、修正された戦略は、企業が予期されない機会を追求し、予期されない問題を解決するうちに下す、日々のさまざまな決定が凝縮したものであることが多い。このようにして形成される戦略は、創発的戦略と呼ばれる。

かみ砕くと、意図的戦略とはもともと計画していた「こうしたい!」というもので、でも実際に試してみると予期せぬことも起きますので、それを踏まえて「こっちの方がいいよね!」と修正したものが創発的戦略と呼ばれるものである。

なお有名な例を挙げると、ホンダはかつてアメリカに大型バイクを売り込むに行ったのだがまったく売れていなかった(意図的戦略)。そんな中、サブ機として持ち込んでいたスーパーカブが「予想外」に人気を集めていること気づき、途中で方針を変えたというのが創発的戦略である。

意外や好評だったのが、大きな国で小さなバイクなど売れるわけがないと誰もが思っていた、ホンダ50の名称でラインアップに加えられていたスーパーカブであった。

ホンダの公式HPにもそのエピソードが紹介されていたので、良ければご覧あれ(上記はこちらのHPからの引用です。)。

www.honda.co.jp

 

さて、私が『イノベーションオブライフ』を推す理由は、名前の通り人生のイノベーション方法が書かれているからであって、ビジネスの教授らしく、経営・経済の理論を人生に応用して教え解いている。今回の創発的戦略に関しては以下の通りだ。

私たちは人生やキャリアで、意識していようがいまいが、つねに意図的戦略か、創発的に現れる予期されない選択肢のどちらかを選びながら、道を進んでいく。どちらの手法も、私たちの心をつかもうとして張り合い、実際の戦略になろうとして正当性を主張する。どちらかの手法がもう一方に比べて本質的に優れているとか、劣っているということはない。むしろ、どちらを選ぶべきかは、あなたが道程のどこにいるかによって決まるのだ。戦略がこの2つの異なる要素からできていること、そして状況によってどちらを選ぶべきかが決まることを、しっかり理解しよう。そうすれば、キャリアを歩むなかで、ひっきりなしに現れる選択肢の中から、よりよいものを選び出せるようになる。

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ

  • 作者: クレイトン・M・クリステンセン,ジェームズ・アルワース,カレン・ディロン,櫻井祐子
  • 出版社/メーカー: 翔泳社
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  • メディア: 単行本
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ここまで見てきた通り、このブログは自分にとって思わぬ副産物をもたらしている。これをどう捉え、今後どのように活用・どのように取り組んでいくかを考えるのが「創発的戦略」というものだ

もちろん新しいほうに飛びつけばいいというわけではなく、本書にも書かれている通り、選択肢がどのように出来上がったのか理解した上で、その時々の状況に応じて意思決定すべきである。かつこれは二者択一ではなく、両方の選択肢を内包した手を選ぶこともできるし、もう少し続けて第三の選択肢を見つけ出すのもありだろう。

個人的には、もう少し書いてみたいネタのジャンルがある(計画的戦略)のだが、それが自身の学びや成長につながるということを意識しながら(創発的戦略)ブログを書き続けていこうと思う。

ではでは。