外資コンサル流タスク管理は「完了基準」を考える
次のプロジェクトの実行計画・スケジュール・タスク作成を今行っているのだが、それに関連して失敗しない計画作りの勘所をお伝えしようと思う。
プロジェクト管理ツール WBS
コンサルティング業界や、またはSIerさんなどのプロジェクト単位で働く企業では、WBSというプロジェクト管理ツールが使われるケースが多い。
WBSとは「Work Breakdown Structure」の略称で、プロジェクトにおける必要な作業(Work)を切り分けて(Breakdown)、それを構造化(Structure)したものを指す。
イメージで言えば、「何を」「いつまでにするのか」を管理するToDoリストに「誰がするのか」「いつ着手するのか」「どれぐらい時間がかかるのか」の情報を付加したものである*1。そしてそこまで情報が揃うとカレンダーとセットで管理できるので、WBSはガントチャートを内包することが多い。
なおWBSについて丁寧に説明しているサイトがあったので、そこに掲載されていたイメージのサイトそのもののリンクを貼り付けておく(このサイトでは分かりやすく、年賀状投函をプロジェクトとしてWBSを作成している)。
今回の記事の目的はWBSの紹介というよりも計画作成時の重要な点の紹介なので、WBSの詳細を知りたい方は下記サイトをご参照あれ。
WBS:Work Breakdown Structureの組み立てはプロジェクトの品質を左右する - コロンバスのブログ|COLUMBUS PROJECT
ToDoリスト不要論が発生する理由
因みに、ToDoリストを作成してもうまく活用できないであったり、計画倒れになってしまうという人は、実は結構多いのではないだろうか(なお偉そうに言っているが、私もそこまで得意という訳ではない・・・)。また、ToDoリストを作成1つ1つつぶしていったけれども、臨んだ結果を得られなかったという方もいるであろう。
そのように、計画を立てても結局使わない、使ったとしてもたいした効果がない、というのがToDoリストを代表とするタスク管理に否定的な方々の意見だと思う。
こういう意見に対し、私は部分的には同意する。というのも、そもそもの「リスト」が不完全であれば、それを一生懸命つぶしても期待した効果を得られないし、そのような経験が積み重なるとメリットを感じられなくなり「リスト」が使われなくなり、そうなると計画立てても無駄だよね、となってしまう。そしてそのようなケースが多いと思うので、ToDoリスト不要論を唱える人たちのことも理解できる。
タスク管理の勘所
では、どのような点に留意してリストを作ればよいのか。
それは、「ゴール」とそのための「完了基準」を考えることだと私は思っている。
WBSやToDoリストでよくあるのが、「いつまでに」「何をやる」という『やることリスト』だ。恐らく世の中のToDoリストの大半は『やることリスト』だと思う。
ただの『やることリスト』の何が問題点は、それだけだと網羅性を担保できない+品質が分からないことだ。
例えばToDoリストに「役員会で発表する資料を作成する(締め切り:X月Y日)」と書いたとする。さて、これだけでタスクを完了できるだろうか。これを個人で行うのであれ、チームで行うのであれ、残念ながらこれだけだとうまく進まないと思う。例えばどこまで作成するのであるかとか、何ページ作成すればいいのかとか何も分からないし、WBSであれば何時間かかるかを見積もる必要があるが、これだけだと経験と勘で「えい、やぁ」と時間を見積もるしかない。
このような状況に関して、細かくタスクを設定するのが好きな人は、どんどん細分化していって、例えば「コンセプト設定」「全体の構成作成」「初回レビュー」・・・などといった感じにマイクロマネジメントを行おうとするが、たいていの場合そのような面倒くさい管理はみんな嫌がるため、結局うまくいかないことが多い。
またこのとうな考え方は積み上げ式のアプローチであるため、抜け漏れが発生しやすい。例えば発表の直前になって、資料作成だけでなく、事前にXX部の部長への根回しが必要だったと気づく、、、といった具合である。
「やることリスト」だけだとうまくいかない理由が少しお分かりいただけただろうか。
一方で「完了基準」を考えた場合どうなるのか。
完了基準を考えるというこはある意味視点の変更であり、「~~する」という視点を、「~~の状態になる」の視点に変えることである。
上記の「役員会で発表する資料を作成する」の例だと、考えるべきことは発表した結果どうあるべきか、だ。例えば「〇〇に関する投資の了承を得られた状態」などである。そしてその「状態」を達成ためには何を満たせばよいのか、、、が完了基準である。
このように考えると、単に「資料を作成する」というやることリストではなく、何が必要なのか、網羅性と品質の両軸から考えることができる。そのようなアプローチで作成すしたリストは「何を」「どこまでやればいいのか」が明確、つまり網羅性が担保されるとともに、品質レベルも定義されたものになる。
ここまで具体化されていれば、使う方も利用するモチベーションも枠であろうし、また仮に日々の進捗管理に使わないとしても1つの目安になるため、計画倒れにもなりにくい(というよりも、計画を立てた段階で無茶な計画かどうかの判断が付くので、「計画倒れ」になる可能性が下がる)。
大事なのでもう一度繰り替えるが、計画やスケジュールを立てるときに考えるべきことは「やることリスト」ではなく「完了基準」である。
ではでは。