点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

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とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

最強である一方で最も軽視されているフレームワーク「5W1H」:当たり前のことを当たり前にやることは難しい

5W1Hは誰でも聞いたことがあるとがあるだろう。
いつ(When)、誰が(Who)、何を(What)、どこで(Where)、どうして(Wht)、どうやって(How)の頭文字をとったものだ。

 

この基本的すぎるかもしれない、また今更かよと思われるかもしれない5W1Hだが、個人的には仕事をする上での最強のフレームワークだと思っている。

シンプルであり、汎用性が高く、どんなシーンでも使えるフレームワークは他に思いつかない。

 

敢えて弱点を挙げると、5W1Hはどちらかというと網羅性を担保するための考え方なので、深さの議論に向かない点。ただしこれは How を細かく定義することでカバーできる。

もう一つの弱点は、5W1Hは6つの要素から成るが、「6つ」が多すぎる、ということだ。

 

これは冗談ではなく真面目な話である。

コンサルタントがなぜ「3つのポイント」にこだわるかと言うと、人は多くのことを覚えられないからだ。3つ、または4つが限界だろう。

そう考えると、マーケターと称する人たちがよく使うのは3Cだったり4PだったりSWOTだったりの4つまでの分類が大半で、一方7Sを使っているシーンはほぼ見ない。BCGのPPMが一世を風靡したのは4マスがシンプルで分かりやすかったからであって、後追いしたマッキンゼーの9マスの考え方は流行らなかった。アクセンチュアが提唱したシックスバブルズの考え方に至っては知っている人はほとんどいないだろう。「7つの習慣」だって読んだことのある人はかなりたくさんいると思うが、7つすべての習慣を説明することができる人は少数だろう(そして使いこなせている人はごくごく少数だと思う)。

 

以上の例の通り、人が使いこなせるのはせいぜい3つか4つの考え方であって、そのため5W1Hは明確に意識して使わない限り、どれかが抜け落ちてしまう。「5W1Hを大事にしましょう」「あならは5W1Hを意識して仕事をできていますか?」と聞いて「そんな基本的なことを何をいまさら」と5W1Hを軽んじる人は、5W1Hを使いこなせていないだけだ。これは断言できる

使いこなすとは、知識だけでなく、胆識・胆力を持って周囲を巻き込み現実を変革していくということである。 

lightingup.hatenablog.com

 

例えば先週一週間に会社で行われた会議を思い出して欲しい。

呼ばれて参加したものの、会議の目的が分からず1時間、場合によっては数時間を無駄にしたことはなかっただろうか?

数字が足りていない報告があったものの、誰も原因や、今後いつまでに何をするのかの改善策を聞くようなことがなく、淡々と会議が進んでいくことはなかっただろうか?

次アクションは決まったものの、誰がいつまでにやるかが曖昧になっていたことはなかっただろうか?

議論はしたものの結論は出ず、かといって次回までに何をするのかも明確になっておらず、「きっと来週も引き続き同じ不毛な議論になるのだろな」と思ったことはなかっただろうか?

新しい方針が打ち出されたものの具体的な手順は何もなくただの大号令で終わり、「結局いつも通り何も変わらないんだろうな」と思ったことはなかっただろうか?

 

物事を伝える側に5W1Hの意識が欠けているからこそ、このような決まらない意味の無い会議は生まれるのである。

そして厳しく言えば、参加者から主催者や発表者に対しての指摘がないからこそ、意味の無い会議は意味の無い会議のまま変わらないのである。

 

 

抜け落ちやすい項目を勝手にランキングすると、一位は群を抜いて「目的」だろう
目的は何よりも大事なのに、どうしてここまで抜け落ちるのか。会議に限った話ではない。会社や事業部の方針から日々行われる業務に至るまで、目的が明確ではない業務のなんと多いことか。

 

第二位は「誰が行うか」ではないかと思う。責任の所在とも言い換えられる
職業がらコンサルタントの立場としてクライアント企業の R&R(Roles & Responsibilities;役割と責任)を再定義することも多いのですが、これがどうしてなかなか、ヒアリングしていくと不明瞭なケースの多いことか。

 

第三位は「いつまでに」、つまり期限だ
厳密にはこれは抜け落ちている、忘れ去られているというよりも、重要視されていない・守られていないことが多いという文脈で取り上げたい。期限は決まっているものの、誰もそれを守らない。それどころか、期限を守らなくても何もお咎めなし。あってないようなものである。

 

つまるところ、5W1Hの徹底」とは「当たり前のことを当たり前にやること」であり、5W1Hの徹底が意外と難しい」ということは「当たり前のことを当たり前にやることがいかに難しいことか」ということを物語っているのだと考える。

 

元気のない企業、業績の悪い企業はこういう当たり前のことが当たり前に行われていない。多くの人がなぁなぁに自分の業務だけをこなしているだけ。一方、成長企業、業績の良い企業とは、社内で喧々諤々な議論が飛び交っているものである。なぜなら、当たり前のことを当たり前にやるのは難しいので、確認や相談、支持出しなどが必要だからである。

 

個人の仕事にフォーカスしても、5W1Hを徹底するだけで、間違いなく個人の業績・成果・評価は向上するはずである。個人の勝手な妄想ではあるが、5W1Hを徹底するだけで、その組織の上位20%の人材にはなれるのではないかと思う。転職して自分の市場価値や給与を高めたいと思っている人は、まず今いる会社で5W1Hを徹底して社内での価値を高めることが、その後の転職時の市場価値を高めることに繋がると思う。

 

最後に、5W1Hを使いこなすための私なりの考えを紹介したい。
個人的には、多くは考えずに、まずは「目的」にフォーカスすることこそ大事だと思う。

目の前の仕事は何のために行なっているのか。

これを突き詰めて考えれば、自ずとどうやればうまくいくのか、何をいつまでにやらなければ行けないのか、誰に頼まなければならないのか、と他の視点が持てるようになり、そうやって考えを列挙した後に5W1Hに沿ってまとめて抜け漏れがないかをチェックすれば完璧である。

 

とはいいつつ、自分自身でも「目的」を見失う、忘れてしまうことはありますけどね。なかなか難しいものです。

 
ではでは。