点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

コンサルタントは常駐先で聞き耳を立てている

プロジェクトが始まると、コンサルタントは客先に常駐することが多い。

クライアント企業に社員登録してもらってPCやらアカウントやら入館用のカードも用意してもらい、クライアント企業の社員のように毎朝出社する。場合によってはクライアント企業の名刺まで用意してもらって、他社との会議にコンサルの身分隠して出席することもある。

 

さてこの常駐には多くのテーマやネタが潜んでいるが、今回はどこで仕事をするかという点に注目したい。

 

常駐の2つの形式

常駐場所には大きく分けて、2つのパターンがある。

まず1つはどこか会議室を長期間お借りし「プロジェクトルーム」てして占有させてもらうパターン
※会社によってはコンサルやベンダー用に複数社が同席して使う大きなプロジェクトルームをあらかじめ用意している場合もあり、その時は残念ながら占有はできない

もう1つはクライアントの執務スペースの一部をお借りするパターン。これは文字通りクライアントの担当者と机を並べることになる。経営企画とのプロジェクトであればオフィス内の経営企画のデスクの島の片隅か、空きが無ければ近くの席。経理とのプロジェクトであれば経理の、情報システム部とのプロジェクトであれば情報システム部の、という具合である。
最近フリーデスクの企業も増えてきたが、多くの場合は部署ごとにどのエリアを使うという傾向はあるので、担当者の近くの席を自由に使うことになる。

なお、これは丸の内とか新宿とかの本社ビルだけの話ではない。地方の工場や研究所に行くこともあるし、子会社やグループ会社に行くこともある。私も国内であれば、一番遠いのは沖縄の会社(大手製造業の子会社の子会社)まで行ったこともある。季節が冬だったのが悔やまれる。

 

自由度の高いプロジェクトルーム

大きく2パターンある常駐場所だが、コンサルタント目線では、プロジェクトルームの方がいろいろと楽である。身内しかいないから気兼ねなく自由に振る舞えるし、会議室を予約することなく議論できるし、業務時間中にブログを書いていてもバレにくいですし*1)。あと、クライアントの誰かがふらふらっとやってくることも執務スペースに比べれば少ないので、自分たちの作業に集中しやすいというメリットもある。

 

執務スペースの利点はリアルな社内の空気・生の情報を得られること 

一方で、執務スペースの場合。
まずプロジェクトルーム利用時の逆で、クライアントと机を並べるため緊張感が高くなったり、打ち合わせするのにも会議室を予約しなければならなかったり、作業中に担当者にどんどん声をかけられることもあるというデメリットがある。
なお私がコンサルを使う立場なら、気軽に話しかけられてかつ監視もできるので、近くの席に常駐してもらうと思う笑

しかし個人的には、執務スペースの常駐にはこのデメリットを大きく上回るメリットがあると考えている。

それは、社内の空気感・生の情報を得られるということだ。

 

空気感。これ、意外と大事。

コンサルタントとは仮説を立てて検証する、ということを繰り替えるのが基本的なスタイルであるのだが、現場の空気感はこの仮説立案や検証時に非常に役立つ。例えば、数字だけで見れば業績も好調で業務も効率よく行われていそうと思っていたが、いざ現場で一緒に仕事をしてみると、執務スペースがなぜか元気がないであったり、または事前に数値で見ていたよりも残業で残っている社員さんが多い、とか。そういう数値やデータとのギャップはやはり現場でなければ分からないし、その「違和感」が大事な気づきになったりする

 

また中にはもっと直接的な生の情報が飛び込んでくることがある。何かというと、現場での社員同士のやりとりや、噂話などだ。例えば「AさんがXXXの取り組みを快く思っていないらしいよ」という噂とか、「なんで私ががBさんの代わりにYYYしなきゃいけないのよ」「ZZZ部から作業依頼が来ているけどまじ意味わかんない」という愚痴とか。みなさんも自分が言ったり人のを聞いたり、心当たりはあるのではないだろうか。職場は噂話や愚痴の宝庫だ。特に残業している時間になるとなおさらだ。

そのように入手した情報は、さすがにそのまま使うわけにはいかないので、プロジェクトメンバーとの打ち合わせや討議の時にしれっと「ところで部長のAさんって今回の取り組みついてどうお考えかご存知ですか?前回の説明させてもらった際に、腑に落ちていない顔をしていた覚えがありまして・・・」などとしたり顔で質問し、裏を取りに行く。

因みにネガティブな話だけではなくポジティブな話ももちろん聞こえてくれば、取り組みをドライブさせるための「ユーザーボイス」であったり、「施策が浸透している」ということの言質として利用できないかと思いを巡らせたりもする。

こういう動きができるのは、執務スペースに常駐することの強みである。

 

みなさんの周りにも、コンサルタントが潜んでいるかも・・・

皆様におかれましては、本社に限らずどこにいたとしても身の回りに自社以外の人間が潜んでいる可能性があるということ、そして思っている以上に自分たちの会話や雑談は周囲に聞かれていることを注意されるとよろしいかもですね。

もちろん雑談や愚痴言ってガス抜きするのは大事ですが、内容にはくれぐれもお気をつけあれ。

 

ではでは。

*1:厳密にはコンサルタントは成果がすべてであり「業務時間」という概念は無いので、いつどこで何をするのも自由である