点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

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とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

「ロジカル」の三要素と活用方法

ロジカルシンキングビジネスパーソンが身につけるべきスキルとよく言われます。書店でもロジカルシンキング系の本はたくさん並んでいますし、ビジネス系のセミナーや研修でも人気のテーマでもありますね。

 

そのように広くロジカルシンキングの大切さは広く周知されていますが、一方でいざ「ロジカルとはどういう意味ですか?」と質問されると、答えに窮してしまう人は実は多いのではないでしょうか

また身の回りを思い浮かべてみると、それって本当にロジカル?と疑ってしまうシーンも多いのではないでしょうか

 

意外と広まっていないロジカルシンキング

どうしてそうなってしまうのでしょうか。

僕一個人の考えで恐縮ですが、ロジカルシンキングが大事と言われつつも、まだまだロジカルがどういうことか一般的に広まっていないのではないかと思います。

 

例えば個人の話で恐縮ですが、前職のベンチャーでは議論の最中に「それって抜け漏れないの?他にないの?」「それ粒度感合ってないよね?」「その話の論点は何?」というような言葉はあまり聞かれませんでした。また現職でクライアント先のクライアント主催のmtgに参加する際も同様です。

一方僕らの内部レビューやこちら主導のクライアントとの討議では、そのような「論理を確認する言葉」が飛び交います。

 

ロジカルシンキング活用に向けて

 では日常でロジカルシンキングを使いこなすにはどうしたらいいのでしょうか。

ポイントは、まず「ロジカル」とはどういうことかを端的に理解すること。そしてそれを討議している人たちとの共通認識として理解することだと思います。

 

そもそもロジカルとは?

 個人的に1番腹落ちしている説明を、波頭亮と冨山和彦の対談本から引用します。 

 

波頭
論理的思考の勘所は、言葉に直したら単純です。独立と相関の区別、ディメンション(次元)の統一、因果の強さ、そんなところです。しかし、それだけのことがなかなかできない。できているのか、できていないのかもちゃんとわからない。

冨山
因果の鎖がメチャクチャになっちゃう(笑)。

波頭
そうです。そういうのが、因果・相関の話です。もう1つが、突き合わせて比較したりするときに、ディメンションがずれたものを一緒くたにしてしまっていることも多い。

冨山
そう。アップルはアップルと、オレンジはオレンジと比較しないと意味がないのに。

波頭
それに因果の関係の理解がずさんなことも多い。事象Aと事象Bが、8割の確率の因果関係でつながっているとする。社会現象や人間の行動において8割ならほぼ硬い因果ですね。AだからBですよねって、8割は当たってる。だけどAだからBですよね。だからCですよね。そしてだからDですよね。と3回展開したら、8割×8割×8割となって正しい確率は5割になってしまっている。要するに因果の蓋然性の高さというか、因果の堅さに対して無神経だったりすることが多い。 

プロフェッショナルコンサルティング

プロフェッショナルコンサルティング

 

 

いかがでしょうか。世の中にロジカルシンキングを名乗る書籍はたくさんあり、その書籍の数だけ定義がありますが、上記説明はとても分かりやすくロジカルの勘所を説明していると思います。
(なお他にも有名どころをあげると、バーバラミントの「考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則」というコンサルタントのバイブル的書籍があります。こちらは改めて書評を書こうと考えています

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

 

 

さて、それではどう活用しようか

ここまで読まれな皆さま。おそらく「OK、ロジカルの勘所はわかった。でもそれをどうやって使えばいいんだ?」と思っているのではないでしょうか。 

冒頭にコンサルティングファーム以外の会社のコミュニケーションではそれほどロジカルにそこまで拘っていないのではないかと書きました。
実はこれはある意味真っ当なことで、なぜならコンサルティングファームはロジカルを武器に商売をしているわけですから、ロジカルであること自体が強みの1つだからです笑。

別の角度で説明しますと、コンサルティングファームはクライアントに提言をしなければならない立場です。こちらからの提言にクライアントに納得いただき次のアクションに移っていただくためには、100%に近い形で論理を積み上げることが求められるのです。一方自分たちでビジネスを行なっているサイドであれば、ロジックの確からしさが60%でもGoが出るかもしれませんし、極力成果がでれば論理はなくても問題なし。むしろ論理ばかり考えていては成果はでないので、むしろ早く体を動かせというケースもあるかと思います。

ちょっと話題ずれちゃいましたが、要はコンサルティングサービスを提供する側と受ける側の役割・立場の違いが大きいのではなかと考えます。

 

ただしそうはいっても、論理がしっかりしていて損することはありませんし、論理を正すだけで会議中の不毛な迷子も解消できるかもしれません。
ということで、最後にいかにロジカルシンキングを活用するか、僕なりの考えをまとめみたいと思います。

 

シンプルに、自分自身と周りに問いかけてみるのはいかがでしょうか

 上の方に『日常でロジカルシンキングを使いこなすポイントは、まず「ロジカル」とはどういうことかを端的に理解すること。そしてそれを討議している人たちとの共通認識として理解することだと思います』と書きました。

 

端的な理解は、書籍から引用しましたが勘所として「独立と相関の区別」「ディメンション(次元)の統一」「因果の強さ」の3要素を挙げました。

が、、、ちょっとこれだとまだ少し分かりにくいですよね?

 

もう少し噛み砕きましょう。「因果関係の向き・強さ」「比較対象のレベル感・粒度感」とかどうですか?

なお因果関係の向きは、これ結構間違えていることあると思うのですね。以下は代表的な例です。

火災現場に出動する消防士が多いほど、火災の規模は大きい。したがって、出動する消防士が多くなることが、火災が大きくなる原因だ。

相関関係と因果関係 - Wikipedia

次元の統一は、レベル感・粒度感としてみました。
例えば販売戦略を考えている際に、中国市場への進出と、営業マンへのインセンティブ制度の導入を同じ土俵で比較するようなものです。コスト削減施策を考える際に、大きな話の人件費削減と、足元の話の例えば2本セットの蛍光灯の1本を抜く、などの施策を一緒に比較するようなものです。

 

もしここまでご納得いただけたようでしたら、あとは簡単。
まず自分自身で「因果関係の向きは合っている?」「因果関係の強さは合っている?」「比較対象のレベル感・粒度感は合っている?」と自問自答し、自分のアイディアや他の人のアイディアを評価してみる

それができるようになったら、次は勇気を出して、

「AだからBと仰いますが、それはどれぐらいの確率でそうなるのでしょうか?」 

「選択肢のXとYとZのうち、Yだけ他の2つよりも大雑把すぎないでしょうか?」

などと、問いかけてみる。おそらくうざいコンサルよろしく「それってMECEなの?」と上から目線で投げかけるよりも難易度はぐっと低いと思います。

あとはそういう問いかけを繰り返していけば、きっと周囲にロジカルに考える勘所が伝播し、周囲の人たちとの共通認識が出来上がっていくのではないか・・・と思います!

 

納得された箇所があれば、ぜひ試してみてください。