点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

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とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

コンサル面接対策:コンサルタントは「プロフェッショナル職」である

前回の投稿では、コンサルティングファームを受ける際はなぜコンサルタントになりたいのかという「コンサルタントへの志望動機」をロジカルに語ること、そのためにはコンサルタント職への正しい理解が必要不可欠であることを説明しました。
ではコンサルタントとはどういう仕事なのでしょうか。
 

コンサルタントはプロフェッショナル職である

コンサルタントコンサルタントたらしめる大きな要素は、コンサルタント職とはプロフェッショナル職であることだと僕は考えています。
これまで、大学生のOB訪問や、また転職でも何人かのコンサル志望者と話をしたことがあるのですが、どうしても中にいないとこの辺の理解は難しいようです
もっとも中の人でもプロフェッショナルの理解に乏しい人もいますが!)
 
 

世の中の人が抱くプロフェッショナル像

プロフェッショナルと聞いて、みなさん何を思い浮かべますか?あるいは誰を思い浮かべますか? 

探したらソニー生命が実施したアンケートがありましたので、そちらを見てみましょう。
ざっと見てみると、高い専門性、スキルが高い、その人にしかできないなどが上位に並びます。他にはクオリティへのこだわりや信念、自己研磨などの姿勢面の投票も多いみたいですね。
人で言えば、イチロー高倉健、明石家さん。職業なら野球選手、医者、パイロット、寿司職人・板前、救急救命士などと続きます。なお職業ランキングに経営コンルタントは入っていないようです。
 
以上は一例ではありますが、まとめると、イメージとしては高いスキルを有していて人にはできないことをしているというアウトプット面に、職人気質という内面的要素が加わったものでしょうか。
 

では、「プロ」と「プロフェッショナル」との違いとは?

質問を変えて、プロフェッショナルと近い言葉でプロという言葉がありますが、プロとプロフェッショナルは何がどう違うのでしょうか。
マチュアの反対だから、その道で生計を立てている人?例えば先の調査の職業第1位であった野球選手はプロかプロフェッショナルかでいえば、恐らくプロと大半が答えるでしょう。同様に寿司職人もプロかな?医者はなんとなくプロフェッショナルっぽい。。。そんな感じでしょうか。
 
分からなくなった時は、言葉の成り立ちに立ち返るといろいろ発見があるものです。
調べてみると、プロフェッショナルとは、宗教に入信する際の「宣誓する」という意味である “profess” という言葉からきていて、やがてそこから、厳かな公約や誓いを伴うような専門的職業人をプロフェッショナルと呼ぶようになったと言われているようです。
 

プロフェッショナルの定義とは

長々と引っ張りましたが、実はアメリカではプロフェッショナルには定義があります。
その定義とは、次の通りです。
 
ある学問的体系に裏付けされた高度な技能を、倫理観を持って、依頼人のために活用し、問題解決を図ることで報酬を得る人
 
なおこの定義は下記書籍からの引用です。
戦略的マネジャーの本質と経営行動―次世代リーダーシップの条件

戦略的マネジャーの本質と経営行動―次世代リーダーシップの条件

 

 

さて、これは非常に含蓄のある定義です。

 

「ある学問的体系に裏付けされた高度な技能」

 学問的ということは言い換えると再現性が求められるということです。プロフェッショナルたるもの、当たるも八卦当たらぬも八卦のような占いではダメで、たまたまうまくいったということもダメ。
 

「倫理観を持って」

 例えば医者を思い浮かべてください。医者と患者では圧倒的な情報の非対称性があり、患者は医者に勧められた治療法に従うしかありません。医者は悪いことをしようと思えばいくらでもできる立場なのです。だからこそ、プロフェッショナル職は高い倫理観を求められます。
 

依頼人のために活用し」

 これはとても大事なポイントです。プロフェッショナルとは、特定のクライアントがいてはじめて成り立つ職業ということです。
サービスや商品を不特定多数の人々に提供するのでも、自分の表現や美を追求するのでもありません。
そのため必然的に、プロフェッショナルの仕事はクライアントの要望に応えるための受諾案件型/プロジェクトベースになります。
 
なお、イチロー高倉健などはまさにプロだと思いますし、他にも芸術家や世の中のあまいる職人もプロだと思いますが、プロフェッショナルとは個別具体的なクライアントからの依頼を受けるものという意味合いが、プロとプロフェッショナル職との大きな違いの1つではないかと思います。
 

「問題解決を図ることで報酬を得る人」

 これは成果指向と言い換えることができます。
フィーをいただいて課題解決を図るわけですから、どんなに頑張っても成果が出なければ意味がありません。プロフェッショナルにとって、仕事を引き受けるということは成果を約束することと同義なのです
 
波頭亮のプロフェッショナル原論という書籍には、アウトプットオリエンティドという成果指向について論じた章を次のように締めくくっています。
 

プロフェッショナルが一般のサラリーマンと大きく異なる点は、身につけている知識や技術のレベルの高さよりも、むしろこうした厳しさに耐えて仕事を完遂する精神力の強さにあると言えよう。どんなに困難な問題であっても逃げ出さずに常に問題解決指向で立ち向かっていく信念と勇気、そしてプロセス自体は全く評価してもらえないにもかかわらず必死で努力し続ける強靭な精神力こそがプロフェッショナルの証なのである。 

プロフェッショナル原論 (ちくま新書)

プロフェッショナル原論 (ちくま新書)

 

(ちなみにこの本はコンサルの理解を深めるのに最適な本です。いつか書評書きます。。。)

 

経営コンサルタントこそ、プロフェッショナルとしての自覚を強く持つべきである   

コンサルタントは他のプロフェッショナルよりも、より一層プロフェッショナルとしての自覚を持つべきだと個人的には考えています。
他のプロフェッショナル、例えば医者や会計士や弁護士は、その職業に就くために資格が必要ですが、経営コンサルタントは資格は不要です。いわば名乗ったもの勝ちですし、そのため世の中にはいろいろな自称コンサルタントが沢山いて、その結果中には「コンサルタント」=「胡散臭い」というイメージを持ってしまう人もいるのだと思います。
 
しかしこれまで論じてきました通り、真のコンサルタントとはプロフェッショナルでなければならないのです。それを証明してくれる資格がないからこそ、より自分に厳しく、プロフェッショナルとしてのあるべき姿を追求しなければいけないと考えています。
 
ということで、長くなりましたが、世の中一般的に見えにくいコンサルタントについて、コンサルタントとは「プロフェッショナル職」だという切り口から解説してみました。
少しでもコンサルタントという職業の理解促進に役立てば幸いです。