世代間の一票の格差は最大3.7倍!若者よ、選挙に行こう!
日曜日は参議院選挙の投票日である。
みなに等しく付与される投票券だが、人口と投票率の違いにより、20代と60代とでは、3倍も票の重みに格差があるのはご存知だろうか。
3倍の差。これは選挙においては壊滅的な差をもたらす。シンプルに言えば、20代と60代だけを切り取ると、20代1人と60代3人で多数決をしているようなものだ。 どうあがいても、勝てるはずがない。
実際の数字を見てみよう
以下は 直近の国政選挙であるH29年の衆議院選挙での投票率と、最新の人口であるH30年6月の人口をもとに試算した、次回の参議院選挙でも同様の投票率だった場合の年齢別の投票数と、一番ボリュームのある65-69歳の投票数を「1」とした時の各年齢区分別の割合だ(年齢区分が違うので、18-19歳と80歳以上における比較は割愛)。
年齢層 | 投票率 | 人口 | 想定投票数 | 65-69歳比 |
18-19 | 41.51% | 2,316,400 | 961,538 | - |
20-24 | 30.74% | 5,990,000 | 1,841,326 | 0.27 |
25-29 | 36.90% | 5,868,000 | 2,165,292 | 0.32 |
30-34 | 42.46% | 6,659,000 | 2,827,411 | 0.42 |
35-39 | 46.78% | 7,448,000 | 3,484,174 | 0.52 |
40-44 | 51.91% | 8,844,000 | 4,590,920 | 0.68 |
45-49 | 55.17% | 9,558,000 | 5,273,149 | 0.78 |
50-54 | 61.12% | 8,299,000 | 5,072,349 | 0.75 |
55-59 | 65.51% | 7,553,000 | 4,947,970 | 0.74 |
60-64 | 70.33% | 7,517,000 | 5,286,706 | 0.79 |
65-69 | 73.42% | 9,166,000 | 6,729,677 | 1.00 |
70-74 | 74.16% | 8,279,000 | 6,139,706 | 0.91 |
75-79 | 70.26% | 6,991,000 | 4,911,877 | 0.73 |
80- | 46.83% | 11,037,000 | 5,168,627 | - |
※参照:年代別投票率はこちらから
http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/
※参照:人口はこちらから
前回の国政選挙である衆議院選挙の投票率、60~64歳は70.33%、65~69歳は73.42%というかなり高い数値であるのに対し、25~29歳は36.90%、20~24歳にいたっては30.74%という壊滅的な低さだ。選挙に行くのは3人に1人未満、なんということだ。
そしてさらに誰もが知っている通り日本は超少子高齢化社会のため、年齢層によってそもそもの人数が異なる。投票率の高い高齢者層は人口が多く、投票率の低い20代は人口が少ない。それによって何が起こるかというと、著しい世代間の一票の格差だ。
タイトルや冒頭にも書いたが、明後日の選挙も前回同様の投票率の場合、65~69歳の投票数が約673万票なのに対し、 25~29歳は216万票、20~24歳は184万票しかない。それぞれ3.1倍と3.7倍も投票数が違うのだ!
その結果、高齢者は優遇され若者は忘れ去られる
ビジネスにおいては CRM(Customer Relationship Management)という「顧客との関係を管理するマネジメント手法」が存在する。
賛否あるかもしれないが、CRM がもたらす恩恵で一番経営インパクトがあるのは、「儲かる顧客とそうでない顧客」が分かることだと私は考えている。言い方を変えると、投資対効果の優れた顧客とそうでない顧客が分かる、ということだ。
例えば、売上高の多い顧客は自社にとって重要な顧客と一般的には考えられるかもしれないが、もしかしたら営業時や販売後のサポートに多くの工数を費やしていたり、そもそもその顧客は利益率の低い商品ばかりを買っていたりで、むしろ赤字の要因を作っている顧客であるかもしれない(そしてそういうケースはよくある)。
一方、目立ってはいないけれども、定期的にこちらからアプローチしなくとも、利益率の高い商品を購入し続けてくれている優良顧客もいるかもしれない。
そういったことが分かれば、どの顧客に力を割くべきか、どの顧客とは関係性を見直すべきか、という意思決定ができるようになる。
※興味のある方は、コンサルティングファームのアクセンチュアが出している以下の書籍を読んでみてください
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さて、これを選挙の文脈で考えてみよう。
企業はなかなか顧客が見えていないものだのだが、選挙の投票においては、わざわざ細かい分析をするまでもなく、一番投資対効果が高いのは、高齢者だ。
若者に響くアピールをしたところで、パイも小さいし、投票する人も少ない。CRMで言えば「儲からない顧客」だ。一方高齢者は、パイも多いし、ほとんどの人が投票してくれる、まさに「儲かる顧客」だ。
目先の自分の当選ではなく国家百年の計を考える偉大な政治家であれば長い視点に立った政策を考えるかもしれない。しかし次の選挙に当選することだけを考える政治家のであれば、若者よりも、同じ努力をして3倍以上のリターンを見込める高齢者をターゲットにして、選挙戦を戦うであろう。
その結果として、「今の」年金支払いや介護、医療保険など、高齢者を優遇する施策が優遇され、待機児童問題や子供手当、学習支援など若者や子供のための施策は後回しにされても何も文句は言えない。財源は一定なわけであるから、それなら政治家は次の自分の当選に繋がりやすい顧客のためになるようにお金を使うであろう。
選挙に行っても何も変わらない、は嘘
選挙に行っても何も変わらない、だから行くだけ無駄だ、という意見をよく聞く。若者が選挙に行かない理由のトップはきっと「なんとなく」というものだと思うのだが、その根底にはこのような考えがあるのではないだろうか。
しかし、ここまでお読みいただいた方にはご納得いただけるかと思うのだが、選挙は(特に若者にとっては)投票して投票率を上げるだけでも十分に価値がある。むしろ「一人区で〇〇党が強いから、投票行っても行かなくても変わらないよ」と仰られる若い人のその行動自体が、若者の投票率を下げ、結果として自分の首を絞めることになっているのだ。「日本死ね」などとTwitterで呟いている暇があれば、周囲を誘ってみんなで選挙に行くべきだ。
確かに目の前の選挙結果そのものには確かに影響しないかもしれない。しかし、若者の投票率が高まれば、当選した政治家が「国民の誰をターゲットにするか」に間違いなく影響を与えることができる。
若者の投票率が高齢者並みに高くなれば、政治を大きく変えることができる。政治家の顔を今まで以上に若者に向けさせることができる。
そのためには、一人ひとりの一票を積み重ねるしかない。
みなさん、政治的な主義主張や信条、右なのか左なのか、ネトウヨなのかブサヨなのか、そんなことはぶっちゃけなんでも構わないので、とにかくまずは投票に行きましょう。
特に20代の方。必ず投票に行きましょう。
ではでは。