点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

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とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

セミナー/研修講師の心得とテクニック

職業柄人前で話をしたり会議のファシリテートをすることが多いのだが、それだけでなく、キャラも関係しているかもしれないが、私は社内外に対しセミナー/研修講師やワークショップ主催者として駆り出されて何かを伝えたり教えることがよくある

経験値としては、規模感は数名〜30名程度で、講義形式で知識を教えるというよりも、ハンズオンで一緒に何かを行うという形式が多い。テーマはお客さんの業務プロセス変更に再してのトレーニングだったり、ユーザーサイドのちょっとしたテクノロジカルなツールの研修だったり、業務改善スキル習得のためのワークショップだったり。

「高度に専門的なことを教える」というよりも、「ちょっとだけ専門的なことや新しいことを」「実務で活用できるレベルになるまで習得してもらう」だったり、「今目の前で困っている課題に対して」「解決策を一緒に考え具体的なアクションプランに落とし込む」といった現場変革を得意としており、研修講師としてジョブチェンジしても食っていける程度の自信はある。

 

ただし研修スキルを体系的に今の会社で学んだ訳ではなく、ほぼ独学で身に着けてきたスキルであるので、自分自身の備忘録と暗黙知を知るために、講師を行う際に大事にしている考え方をいくつかまとめてみた。

急にセミナー講師を頼まれて困っていたり、これまで講師役をうまく演じることができなかった、という人には是非以下の投稿を取り入れてもらって、そしてその結果どうなったかを教えてもらいたい・・・。

 

研修講師の心構え

まずは心構えから。

「研修講師は何を求められているか」というと、参加者は自分の知らないことを知ったり、出来るようになること、行動のきっかけとなることを求めているのだと思う。
となると、参加者に対してたくさんのミートする「気づき」を促すことが講師の仕事であると理解している。

それには、ライブ感と双方向のコミュニケーションが必要だ。一方的に教えるのではなく、相手の理解度を見極めながら、伝わる努力をすることが求められる。

 

なお、相手が聞きたいと思っていることを話すためのテクニカルはこちらご参照あれ。

lightingup.hatenablog.com

 

効果的な「伝え方」

資料作成やプレゼンでも同じだが、まず伝えたいメッセージはシンプルにするべき。そして、それを何度も何度も繰り返す

具体的なフレーズとしては、例えば『本日皆様に必ず覚えて帰っていただきたいのは、AとBとCの3つです』と初めに宣言し、続く様々な説明の中で『これはAの実際の事例です』だとか『Bを活用するとこのようなこともできるようになります』だとか『ここまでのお話、Cの見方を変えただけだということに気づいたかたおられますか?』だとか述べ、繰り返し繰り返し大事なメッセージを刷り込んでいくのだ。

まあ関連付ける方法はなんでもいい。
大事な点は、伝えたいと思っているメッセージは話し手が思っている以上に聞き手の頭から抜け落ちていくものだ、という点を理解すること。そして、話し手は頭の中で「話しているトピックス」と「伝えたいメッセージ」が繋がっているのだが、聞き手は必ずしもそうではない、という点を理解すること。そこにギャップがあると、講師の独りよがりの研修になってしまうので注意が必要だ。

反対に言うと、その「伝わるのは難しい」ということを理解しながら、丁寧に丁寧に聞き手の理解度を確認しながら進めれば、それだけでかなり「伝わる」研修になるはずである。

 

※伝わりやすいスライドに関しては、こちら 

lightingup.hatenablog.com

 

納得感を高め、習得してもらうための方法 

さて、伝わることが難しい話をしたが、さらに言えば「伝わること」と「できるようになること」はまた別の話。伝わったのちに「納得」してもらい、それによってできるように「習得」してもらわなければならない

これを促すのが、研修講師やトレーナーの腕の見せどころではないだろうか。

 

私が心掛けていることは、簡単には答えを教えないことだ。

 

受講者に「考え方」を伝えたのちに、考えてもらい、悩んでもらってから、答えを教える。
失敗した場合には、失敗した理由を考えてもらってから、答えを教える。
出来たつもりの人には、見落としている点を指摘してから、再度教える。

 

終始、この調子だ。

 

コーチングの世界には「脳の空白の原則」という考え方がある。

人は分からないことがあると脳に一瞬の空白ができ、脳はそれを埋めようとする。この時に気づきが生まれるため、質問を用いて相手の脳に空白を作り出すことで、効果的な伝え方ができる

この考え方を利用し、とにかく参加者に考えてもらう。時には、あえて難しい質問や、その時点では気づかないであろう質問を投げかけたりする
実際にしたことのある例だと、業務改善の手法をレクチャーした後にユースケースを出して参加者とどこに改善ポイントがあるのかディスカッションしたことがあるのだが、それは前提条件をひっくり返すとかなりインパクトのある業務改善を行えるケースになっており、視点を大きく変えない限りそのソリューションが思いつかない仕掛けになっていた。
(なお最初に『ゼロベースで考えることが大事』とメッセージングしておいて、『ほら、ゼロベースで考えるとこんなにも大きな効果があるのですよ』と付け加えることで、大事なメッセージの刷り込み効果も狙った仕掛けである)

 

ちょっと意地の悪いキャラになってしまうかもしれないが、参加者の様子や顔を見つつ、どんどん考えてもらって、悩んでもらって、失敗してもらって、、、そこから参加者に「はっ」と思ってもらえるメッセージを伝えることができれば、それは参加者に深く腹落ちし納得してもらい、定着・習得に繋がるのではないかと考えている。 

 

一番大事なこと

そして最後に、私が一番大事にしていること。

それは、明るく元気よく、講師が楽しそうにする、ということである。 

 

義務教育の学校からはじまり誰しもこれまで数多くの授業や研修、セミナーなどを受けてきたかと思うが、それらを思い返してもらいたい。つまらなそうな講師の授業で、ためになったり学びが多く、印象に残っているものはあるだろうか?きっと、ないと思う。

稀に「つまらない話で申し訳ありませんが~」と言い訳をする講師もいるが、正直、ありえないと思う。それを面白く(FunnyではなくInterestingの面白さ)伝えるのが、講師の務めだろと声を大にして主張したい。

別にウケる話をするとか、笑いを取るとか、そういうことではなく、興味を引く内容で、参加者にとって学びのある研修であれば、参加者は楽しむことができる。それを講師がつまらなそうにしていたらまったくの逆効果!それに講師がつまらなそうにしていたら、受講者が楽しめるわけがない!

 

ということで、空元気で構わないので、口角と目線と声のトーンを通常よりも少し高めて、明るく元気よくすること。 

そして冒頭に「ライブ感と双方向のコミュニケーションが必要だ」と書いたが、そのライブ感・双方向コミュニケーション自体を講師が楽しむこと

それができれば、きっと受講者に響く研修ができると考えている。

 

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とはいえ、文面だけで伝えるのは限度がありますね。

「小人数限定!外資コンサルタントが教えるすぐに上達する研修講師スキル」と題して、4時間5千円交流会付き(定員10人)、とか。残念ながら弊社は副業禁止です笑

 

ではでは。