点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

伝わる資料・スライド作成のためにコンサルタントが必ず行うこと

経緯コンサルタントの仕事とは、一義的にクライアントの経営上あるいは業務上の課題を解決することである。

しかし、課題解決というものは短期的には目に見えないものであることが多い(仮にシステム導入だとしても、システム導入=課題解決ではない)。そのため、コンサルタントの仕事ではほとんどの場合において報告書などの資料作りがセットとなっており、たいていの場合は資料こそが成果物となる。

また資料は最終報告書だけではなく、提案書に始まり、定期的に行われる定例会や、プロジェクト中の論点を議論するためのディスカッションペーパーだったり、クライアントが中で内覧や稟議を通すための資料だったり、場合によっては社内説明会用資料や、社内トレーニング用の研修資料まで作成したりもする。

そのため、真面目に働いているコンサルタントは資料作成がうまくなるものだ。


余談だが、結婚式ではオープニングムービーやプロフィールムービー/スライドショーをよく見ると思うが、私は自分の結婚式の時に
・オープニングムービー
・妻の自己紹介ムービー
・自分自身の自己紹介ムービー
・二人のなれそめムービー
・エンドロールムービー
・二次会のオープニングムービー
・二次会での妻へのサプライズムービー
といった具合に、普段仕事で鍛えたスキルを駆使して、ひたすらスライドショーを作りまくったことを覚えている。
(ちなみに、なかなか好評だった)

 

コンサルタントの資料作成ステップ

さて、みなさん資料を作成する時に普段どこから着手しているか、思い返して欲しい。

例えば、最初のスライドから作り始めるとか。思いついたスライドから作るとか。大事なスライドから作るとか。

いろいろあると思うが、コンサルタントは誰に聞いてもほぼ100%、全体のストーリーラインから作り始めると言うと思う。

 

はじめはパワーポイントは使わない。まずは紙とペンを手に持ち、あるいはホワイトボードの前に立ち、中身の入っていない空のスライドを作成しはじめる。ホワイトボードに四角の箱をいくつか書いて、それぞれで何を言いたいかだけのメモや、その中に本当に簡単なオブジェクト(丸とか矢印とか四角とか、その程度)の配置だけを行う(これを「空パック」や「空パッケージ」、「空パケ」などと呼ぶ)。中身を作り始める前に、論理関係・因果関係に留意しつつ、全体のストーリーを固めるのである。

全体のストーリーが出来上がったら1枚1枚のスライドに移るのだが、その段階でもまだ中身は作成しない。その前に、その1枚のスライドで何を言いたいのか(「キーメッセージ」や「キラーメッセージ」と呼ぶ)を考え作文をする。スライド内のチャートがあるから言いたいメッセージが決まるのではなく、伝えたいメッセージがあるからチャートの中身が決まるのである。

そう後ようやく中身、、、かと思いきや、今度は空パケに戻ってキーメッセージだけを順に読んで、その資料全体で伝えたい内容になっているかどうかを評価し、そこでOKが出てからはじめて中身の詳細を作り始めるのだ。

 

整理すると、次のステップになる。

  1. 紙やホワイトボードで全体のストーリーラインを作成する
  2. 1枚1枚のキーメッセージを考える
  3. キーメッセージを順に並べストーリーラインと整合しているか論理構成を評価・調整する
  4. パワーポイントの中身を作りはじめる

そうすることで、芯の通った、伝えたいことが論理的に伝わる資料となる。

多少、流儀や宗派、好みによってバラツキはあると思うが、どのコンサルタントもおおむねこの手順で資料を作成するはずである。

 

ストーリーラインよりも大事なこと

という形でストーリーラインと論理構成を大事にして「伝わる資料」を作成するのであるが、実は上記のステップ、ステップ1 の前に ステップ0 が存在する。

それは、資料の「目的とゴール」を設定することだ。

 

目的、つまりその打ち合わせは何のために行うのか、またはその資料はなんのために作成するのか

ゴール、つまりその打ち合わせが終わった後に参加者にどのような状態になっていたもらいたいのか、またはその資料を読み終わった後に読者にどうなっていて欲しいのか、どのようなアクションを取ってもらいたいのか

 

これが決まらなければ、ストーリーラインを組み立てること、資料を作成作成することなんてできない。

 

私も自分で作成する資料は、表紙の次のページはほぼ毎回必ず「目的とゴール」が書かれたスライドになっている。打ち合わせ時も、最初に参加者にその会議の目的、何を確認したいのか・討議したいのか・意思決定して欲しいのかを伝え、その結果会議が終わってからどうなっていて欲しいのかのゴールを伝えてから本題に入るようにしている。

そうすることで、余計な脱線を防ぐことができるし、「目的のない会議」に陥ることもなくなるのである。

 

なお結婚式の余談に戻ると、生い立ちムービーを作成する際も、使いたい音楽と使いたい写真数枚しか決まっていなかった妻に対し、「生い立ちムービーでゲストに何を伝えたいの?お義父さんお義母さんにどう感じて欲しいの?ムービーが終わった時にどういう印象を抱いてもらいたいの?」とヒアリングからはじめたものである。うざがられたことは、言うまでもない

 

ではでは。

 

 

※パワーポイントの操作をはじめてから効率的操作を実現するためのショートカット集はこちら

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