入院時の注意点!その差額ベッド代、本当は支払い不要では!?@絶賛病院と交渉中
こんにちは、徳田です。
普段はビジネスをテーマに記事を買いていますが、本日は知らないと損をするお金のお話を投稿します。
お題は、病院の入院時に大部屋ではなく4名以下の病室を利用する際に発生する「差額ベット代」。
みなさん、大部屋の満床が理由で4名以下の病室を利用する場合は、差額ベッド代を支払う必要がないことをご存知でしたか??
多くの方がご存知ないのではないでしょうか。最近私の妻が4日ほど入院したのですが、かくいう私もこのことを知らなかったです。
都内の病院だったのですが、大部屋が満床のため2人部屋を案内され、差額ベッド代は1日1.5万円で4日間で6万円(←治療費とは別のお金です)。決して安くはない金額ですよね。
しかし私は妻の入院中に「満床理由の場合は差額ベット代を請求できない」ということを知り、厚生局の方からアドバイスを頂戴しながら入院会計担当→その上司→医事課の責任者という順にエスカレーションされながら、今だに交渉を続けています(笑)
はたから見たらクレーマーかもしれませんが、決して理不尽なことを言うわけでもなく、経営コンサルタントの端くれとして(?)事実とロジックに基づき淡々と交渉を重ねています。向こうからしたら嫌な客だろうなぁ。。
そして本日医事課の責任者さんと対面でお話し、こちらからとある提案を行い双方納得のもと、現在病院側で検討を行うフェーズとなっています。
まだその結果は分かりませんが、ある程度ゴールが見えてきたので、その過程をまとめてみたいと思います。
追記
※Twitterでは病院との交渉が難しいとの意見が散見されていたので、自分なりの病院との交渉時のポイントをまとめてみました。
がその前に、まずは差額ベッド代とは何ぞやということからはじめます。
そもそも差額ベッド代とは?
「特別療養環境室(特別室)」を利用する際に発生する健康保険適用範囲外で患者に請求される病室の費用のことをいいます。
特別室は、厚生労働省の通知に以下の通り定義されています。
- 病室の病床数が4床以下であること
- 病室の面積が1人あたり6.4平方メートル以上であること
- 病床ごとにプライバシーを確保するための設備を備えていること
- 少なくとも個人用の収納設備、個人用の照明、小机及び椅子を備えていること。
特別室と聞くと政治家や芸能人が泊まるような個室を思い浮かべるかもしれませんが、実際は4人部屋から差額ベッド代の対象となります。
費用に関しては、安ければ数千円からのようですが、都内の場合は1万円かかるケースも多く、妻の2人部屋で1日1.5万円でした。
※なお1泊2日1.5万円ではなく、1日の利用で1.5万円です。なので妻の入院は3泊4日だったのですが、差額ベッド代だけで6万円費用がかかりました
差額ベッド代が発生するケース・発生しないケースとは?
入院患者が快適な入院生活のため個室などの特別室を希望する場合は、もちろん差額ベッド代が発生します。これは当然ですよね。
なおその際は、患者側の希望だということの証拠として、病院から特別室の設備、構造、料金の説明を受けて、そして同意書にサインを求められます。この同意書へのサイン、とても大事です。テストに出ます。よく覚えておいてください。
一方で、以下のケースは差額ベット代が不要と厚生局からの通達が出ています。
- 「治療上の必要性」から特別室に入院する場合
術後に免疫が低下し感染症にかかるリスクが高かったり、症状が重く絶対安静が求められる場合は差額ベッド代は発生しないようです。このケースは患者さんには選択の余地はないですもんね。
ちなみに著しい身体的・精神的苦痛を緩和する必要のある末期患者の場合も差額ベット代は発生しないようです。 - 「病棟管理の必要性」から特別療養環境室へ入院する場合
患者さんが感染力の強いウィルスにかかっており、他の患者さんへの感染を防ぐなど、治療上の必要性とは別ですが、実質患者さんに選択の余地のない場合です。大部屋が満床の場合も、この項目に該当します。 - 「同意書の確認」に不備のある場合
そして最後のパターンが「同意書による確認」に不備があったり、そもそも同意者にサインをしていない、などの場合です。
同意書による確認とは?
以上を再度まとめますと、差額ベッド代が発生するケースは「自ら希望して特別室に入院する場合」に限られるのですが、希望していたかどうかは「同意書にサインをしているかどうか」で判断されてしまうというのが、一番のポイントです。
しかし、よく考えてください。
病院に入院する際は、いろいろな書類にサインを求められます。その際に看護婦さんから「すみません、大部屋が満床で2人部屋しか案内できないんです。こちら費用を説明している資料なのですが、読み終わったらサインをお願いしますね」と同意書を渡されたら・・・、サインしない選択肢はないですよね?
つまり、本来であれば、大部屋が満床という理由で特別室を利用する場合は差額ベッド代を支払う必要はないにも関わらず、同意書にサインしたため、差額ベッド代が発生してしまう、ということです。
事前にこの事実を知っている人であれば、同意書にサインを求められた際に病院側におかしいのではないかと意義を唱えることができるかと思いますが、そうでない人は病院の説明に従う他ないと思います。
そして実際トラブルが多かったのか、昨年の平成30年7月20日に(割と最近ですね)、厚生労働省は「疑義解釈資料の送付について(その6)」という資料を発表し、その中で、差額ベット代を徴収するには「差額などについて明確かつ懇切丁寧に説明し、その上で患者が差額ベッドへの入室に同意している場合」でなければ差額ベッド代を請求できないと説明しています。
以下、その資料の一部抜粋です(Q&A方式で書かれています)。
問
「「療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等」及び「保険外併用療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等」の実施上の留意事項について」の一部改正について(平成 30 年3月5 日付保医発 0305 第6号)において、特別の療養環境の提供について、「患者に特別療養環境室に係る特別の料金を求めてはならない場合」の「病棟管理の必要性等から特別療養環境室に入院させた場合であって、実質的に患者の選択によらない場合」の例として、「特別療養環境室以外の病室の病床が 満床であるため、特別療養環境室に入院させた患者の場合」が追加された(第 3の 12 のⅰ)の(8))。
上記で書いた通りですね。
(問の続き)
従前は、特別療養環境室以外の病床が満床であるために特別療養環境室に入院させる場合でも、前述の通知に基づく患者の同意があった場合には、患者から特別の料金の徴収が可能であったが、その取扱いが変更になったのか。
次は回答です。
答
従来、当該通知においては、特別療養環境室の提供について、「患者への十分な情報提供を行い、患者の自由な選択と同意に基づいて行われる必要があり、患者の意に反して特別療養環境室に入院させられることのないようにしなければならないこと。」としており、この点は変更していない。また、今回の通知改正で、「実質的に患者の選択によらない場合」の例示として「特別療養環境室以外の病室の病床が満床の場合」を追加している が、従来、「実質的に患者の選択によらない場合に該当するか否かは、患者又は保険医療機関から事情を聴取した上で、適宜判断すること」としており、この点も変更していない。
したがって、特別療養環境室以外の病室の病床が満床の場合における特別の料金を徴収の取扱いについては、特別療養環境室の設備構造、料金等について、明確かつ懇切丁寧に説明し、その上で、患者が特別療養環境室への入院に同意していることが確認される場合には、特別療養環境室以外の病室の病床が満床であっても、特別の料金を徴収することは差し支えない。
以上をまとめますと、同意書による同意とは、単にサインがあれば良いだけではなく、「明確かつ懇切丁寧な説明」が伴わなければならないと厚生労働省が明言した、ということになります。
そして実際、この通知の後に、病院から差額ベッド代を返金してもらったという事例も出てきているようです。
この背景としては、差額ベッド代を支払うことを半ば強制的に入院の条件にするような説明や、それに伴うトラブルが絶えなかったという事情があるのではないかと察します。
さて、私たち夫婦の場合
ここからは私たち夫婦の実際のお話。
まだ決まっていないこともあるので、ポイントだけ整理しますと、
- 入院時に妻が説明を受けて同意書にサインをしている(その際、同意書のからくりは知らなかった)
- 夫婦ともども、妻の同意書にサインした後に、サインしていなければ満床理由による特別室利用は差額ベット代が不要だということを知った
- 退院時に入院会計担当者と交渉するもその担当者では意思決定できず、その場ではいったん支払い保留とさせてもらった
- その後厚生局に電話し事情を説明すると「話を聞く限りだと今回の病院の事前説明は『明確かつ懇切丁寧な説明』と言えないのではないか」との回答をいただく
- 病院の会計担当者の上司と電話で相談し厚生局の見解を伝えても、同意書にサインがあるのだから支払いをするようにとという説明が繰り返されるのみ
- 一方でその上司の方も、僕が質問をした厚生局の同じ人に問い合わせを行い、その結果「その場にいなかったので厚生局としてはどちらが正しいと判断できないため、当事者同士で話し合って決めてほしい」との回答をもらう
- その結果、本日病院を訪問し医事課の責任者と交渉を行う
という、我ながら面倒臭いことを行なっています笑
そして本日の交渉結果ですが、やはり病院からは「みなさんに支払ってもらっていますし、徳田さんも支払ってください」という変わらぬ姿勢でしたので、ただし厚生局も支払うように明言しているわけではなかったことと論点は「明確かつ懇切丁寧な説明の有無だ」ということを交渉の武器として、こちらから「支払うための条件」を提示しました。
その提案内容は以下の通りです。
- 説明が不明確だったことが原因であるので、今後の患者さんへの説明内容を見直して欲しい
- 具体的には、同意書の文言の修正、病院HPの特別室の説明ページの説明文言の修正、患者さんに特別室を案内する際の説明方法・プロセスの見直し
正直、ここまで調べたり交渉する中で、自分の支払いの有無・是非の以前に、患者の無知につけこむ商売が同義的に許せなくなり、今後同様の問題で不必要な支払いを求められる患者さんが続かないようになることを優先したのです。
そして病院サイドも説明内容が必ずしも適切ではないということも認めていたようでして、説明方法を見直さなければならないなとは感じてはいたそうでして、医事課の責任者としてこれから検討し、結論に至り次第連絡をもらえることになりました。
(のでまだ差額ベット代は支払っていません笑)
形としては、自分が捨て石となって、病院に具体的な検討を促したことになるのですが、ただどのような結論を病院側が導き出すのかはまだわからないですね・・・。その場をしのぐためだけに検討しますと言ったのかもしれないですし。なおもし今回の提案決裂した場合は、再度の交渉となります!
クレームチックなところから始まりましたが、最後は小さいかもしれませんが世の中の問題に切り込む形になったのは、自分らしいなと感じています。
ここまで病院と交渉する人は稀だと思いますが笑、差額ベッド代の同意書については、どうぞみなさんもお気をつけください。
なお、この問題は構造的な問題が大きな原因と思い、もう少し議論を深掘りしています。
よければ続編もお読みください。
ではでは。