点灯夫のように生きよう 〜 外資系コンサルタントの小さなつぶやき

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とある外資系コンサルティングファームで働いているアラサーのつぶやきです

靴下の左右が合わない問題とゼロベース思考

みなさんは毎朝、靴下の左右が合わずに無駄な時間を消費することってありませんか?

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色は合っていても微妙にデザインが違うとか。

やっとペア揃ったと思ったら片方に穴が空いていたとか(でも靴を脱がなければ分からないからそのまま出社するとか)。

右は黒色で左は濃い紺色だったと出社してから気づくとか。

 

いやね、洗濯物終わった後にちゃんとペアにして畳んでおけばこの問題は発生しないのですが、でもそれもそれで面倒くさいじゃないですか。。。
(因みに我が家は自分の洗濯物は自分で畳むスタイル)

 

朝の貴重な数分を毎日靴下ペアリングという付加価値の無い作業に当てなければならないのが僕は本当に本当に嫌でして、そこで少し前に思い切って行なった改善を行いました。本日はその話をしようと思います。

 

行ったことは靴下の統一

改善策として行ったことはたったの2つ。

まずは黒系統の靴下を全部捨てる

次にユニクロに出かけて黒い無地の同じ靴下を6足買ってくる

 

3足で1,000円ぐらいで売ってるので、かかった費用はたったの2,000円です。

 

得られた効果 

靴下の統一。たったのこれだけです。でもそれにより、朝の無駄な靴下ペアリング時間がなくなりましたし、また靴下は合わないことに伴うストレスからも完全に解放されました!

全部同じ靴下なので、洗濯物を畳む時にペアを意識する必要がないですし(実際、洗濯済み靴下ボックスにそのまま放り込んでいます)、ペアにしていなかったとしても無造作に2つ靴下を選べばそれが既にペアになっている。無印なので左右を考える必要性もない。しかもすべて同時に買ったのため消耗スピードも等しいので、穴が空きそうになったらまた全て捨てて買い直しをすれば良いのです。完璧すぎて隙がない

 

この取り組みのポイント

非常にくだらない話ではありましたが、この取り組みには1つ大きなポイントがあります。

それは「効率よく靴下をペアにする方法を考えていない」ということ。

つまり今行なっていることを効率化するという連続的な思考ではないということです。

 

そうではなく、行なったことは「靴下をペアにする作業そのものを無くせないか」という非連続な思考です。

この発送は、前者の「どうやって効率化しようか」という思考ではなかなか到達できません。なぜならば効率化しようと考える時点で頭の中に「その業務を実施する」という暗黙の前提が出来上がってしまっているからです(心理学の用語ではアンカリングと呼ばれます)。

 

またこのような根本的解決アプローチは、表面的な課題から考える方法でもなかなか行き着きません。普通の思考回路でしたら以下のようになるでしょう。

 

例1

「朝靴下のペアリングに時間がかかりストレスとなっている」
→「洗濯物を畳む時にペアにしていないことが原因だ」
→「面倒くさがらずに、ちゃんとペアにして畳む」
→「(自分の時間効率化のために)靴下のペアリングを妻にアウトソースする」

 

例2

「朝靴下のペアリングに時間がかかりストレスとなっている」
→「毎朝ぎりぎりき起きるため時間が相対的に貴重になり、ストレスを感じてしまうことが原因だ」
→「早起きすれば余裕を持って靴下のペアリングを行うことができる」
→「夜更かししないために、就寝前のブログチェックを辞める(代わりに通勤中に行うようにする)」

 

大切なことは、まず本当の課題は何かを突き止めること。
今回であれば、朝の時間が無駄になり、さらにストレスになっているのは事実ですが、本当の課題はそこではなく「靴下をペアリングする手間」です。
なので靴下を畳む作業をアウトソースしたり、早起きしたとしても根本解決にはなりません。

 

業務に必ずしも詳しくないコンサルタントがバリューを出せる理由

この手の課題の解決策を考える際はまず一番はじめに常識を捨てて、抜本的な解決策がないかを検証することが肝要です。

でも、それが意外と難しいんですよね。実務者は自分の業務の観点で物事を見てしまう傾向があり、思い切った発想の転換を行いにくいケースが多いですし、できたとしてもスケールの小さい話に留まってしまうことが多いです。また時には無意識に自分の業務を手放すことに拒否反応示しているケースもあります。
さらに上位者が実務者の業務改善まで目線を下して一緒に考えてくれることなんてあまりないでしょう。そして業務が部内に閉じずにクロスファンクションになればなるほど、意思決定者が曖昧になって抜本的解決に繋がらない。

 

そもそも非連続な抜本的解決の検討が難しいという話に加え、靴下のように個人の話なら別ですが、会社の話になると構造的な問題も加わり、自力では漸進的な改善しか行えないというのが多くの企業の現状ではないでしょうか。

 

そしてそこに狙いをつけて、コンサルティングファームが高いフィーを頂戴して入り込んでいるわけですね。

現場に赴くコンサルタントは必ずしもその業種業界・業務のエキスパートではありません。それでもコンサルティングサービス、つまりクライアントの課題解決の手伝いをできる理由の1つに、ゼロベース・客観的に物事を判断できることが挙げられます。

「全部同じ靴下ならペアにする必要ないのではないか?」という具合です。

もちろんこのゼロベース思考だけでファーを正当化できるわけではありませんが、これは間違いなくコンサルタントの強みではあります。

 

とはいえ、とはいえ!

これってめっちゃ難しいスキルかと言われればそんなことは全くないですので。

業務効率化であれば、まずはその業務を無くすことはできないのかを考えるだけです!少し転じて考えると、そのアウトプットを誰が何の目的で使っているのか、それは本当に必要なのか、他で代替できないのか、という流れです。

 

靴下の話から大分他のテーマまで広がりましたが、日常の出来事をこのように深掘りして考えていくのは楽しいですね。

 

ではでは。